🍦 氷に塩をまぜるとなぜ冷たくなる?冷凍庫なしでアイスが作れるひみつ
氷と塩から、「なんで?」「なにでできてる?」「なにになる?」の3段で、ふくろで作るアイス、アイスの中の空気、冷凍庫の冷やし方まで深める「つながるタネ」です。どの話にも、子どもが詰まったときのヒントと3択があります。途中で終わっても、その話だけで1つの会話になります。5〜6歳なら、入口 → 1話目 → 4話目の順がおすすめです。
🗺️ このタネの地図
入口(身の回り)
- 氷と塩のコップ
- 雪の日の道
- 海
- スーパーのアイス売り場
- ソフトクリーム
- 夏のあせ
- かき氷
1段目・なんで?(性質)
- 冷たさ — 氷に塩をまぜると、0度よりずっと冷たくなる
- とけるとき・かわくとき — 氷がとけるとき、あせがかわくとき、まわりから熱をうばう
2段目・なにでできてる?(素材)
- アイスの中の空気(オーバーラン)
- ふたの「種類別」(牛乳の成分の量)
3段目・なにになる?(行き先)
- 🧊 冷蔵庫・冷凍庫・冷凍食品(マイナス18度)
- 🏭 アイスの工場
- 🍦 ソフトクリーム
- ❄️ エアコン
- 🛣️ 冬の道
📎 寄り道(コラム)— 段には入れず、横に置いた話
- 横浜の「あいすくりん」と、氷と塩(1869)
- 清少納言の「削り氷」(1000年前後)
- 冷蔵庫の中の液と、空(そら)のオゾン層(1995)
- 雪の道に、塩をまくわけ
- アイスをいちばん買うのは、何月?(2025)
出発点はどこでもかまいません。話は「氷に塩をまぜると0度よりずっと冷たくなる」と「とけるとき・かわくとき、まわりから熱をうばう」に集まり(1段目)、アイスの中の空気(2段目)をとおって、冷凍庫やエアコンに広がります(3段目)。ノーベル賞などの話は、寄り道として横に置いています。
入口「氷と塩」から話す
① といかけ
「氷に塩をまぜたら、氷はもっと冷たくなると思う? それとも、ぬるくなると思う?」
💭 答えに詰まったら
「氷を手にのせていると、氷はとけて、手はどんどん冷たくなるね。塩をまぜると、氷はもっと早くとけるんだ。そうしたら、まわりはどうなると思う?」
それでも出てこないときは、3択にしてみましょう。
- もっと冷たくなる
- ぬるくなる
- しょっぱくなるだけで、変わらない
当たっても外れても、「なんでそう思ったの?」と理由を聞いてから②へ進むと会話が続きます。
② かんさつ
同じコップを2つ用意する(金属のコップだと分かりやすい)。どちらにも、氷を半分ほど(小さい氷のほうがよく冷える)と、水を大さじ2くらい入れて、1分まつ。片方にだけ塩を大さじ2くらい入れて、スプーンでゆっくりよくまぜる。2〜3分したら、2つのコップの外がわに、かわいた指先でちょんとさわってくらべよう(ぬれた指だと、冷えた金属にはりつくことがある)。長くさわったり、なめたりしない。塩をさわった手で、目をこすらない。塩のほうは、外がわに白い霜がつくこともある(はじめに水てきがついて、それが白くなることもある)。
③ たねあかし
もっと冷たくなるんだ。0度は、水が氷になる冷たさだよ。氷に塩をまぜると、0度よりずっと冷たくなって、よくまぜるとマイナス十何度にもなる。おうちの冷凍庫(マイナス18度くらい)に近い冷たさだね。氷を細かくして、塩を氷の3分の1くらいまぜると、マイナス20度くらいまで下がることもあるよ。
✅ ここで終わってもOK(今日のひとこと)氷に塩をまぜると、0度よりずっと冷たくなる。冷凍庫くらい冷たくなることもある。
🌀 もう一歩
「じゃあ、この冷たさで、牛乳をアイスにできると思う?」
ここで終わらせず、もう一往復すると会話になります。
💬 こう聞かれたら
「なんで、さわると冷たく感じるの?」→「手の熱が、冷たいコップのほうへ移っていくからだよ。熱は、あたたかいほうから冷たいほうへ動くんだ」 「塩のコップには白い霜がついたのに、塩なしのコップは水てきなのは、なんで?」→「どっちも、空気の中の見えない水(水じょう気)なんだ。コップの外が0度より冷たいと、そのまま氷のつぶ(霜)になってつく。塩なしのコップは0度より冷たくならないから、水てきになるんだよ」 「塩をたくさん入れるほど、冷たくなるの?」→「ある量までは、塩が多いほど冷たくなる。でも、どんなに入れても、マイナス21度くらいより下にはならないんだ。氷3に塩1くらいがめやす。ふくろのアイスのように、少なめの塩でも、0度よりずっと冷たくなるよ」
⚠️ 安全メモ
氷と塩をまぜたものや、それで冷やしたコップ・ふくろは、0度よりずっと冷たい。素手で長くさわらない。冷たすぎて、皮ふをいためることがある(しもやけや凍傷)。ふくろはタオルでつつんで持ち、タオルがぬれたらかえる。冷えたコップや、塩をまぜた氷をなめない。塩をさわった手で、目をこすらない。温度計でかきまぜない。作ったアイスは、その日のうちに食べきる。牛乳などの食べ物のアレルギーがある子は、材料を大人が確かめる。冷蔵庫の横は熱くなることがあるので、大人が先にさわって確かめ、長くさわらない。うしろのすきまに手を入れない。エアコンの外の機械は、上にのぼらない。ベランダでは、大人といっしょに見る。
🚪 ほかの入口から話す
その日の場面に合うものを1つ選んで、といかけから始めます。◯が正解ですが、外れても止めずに「おしい、じゃあ確かめてみよう」と続けます。
雪の日の道→ 冷たさ(1段目)
「雪の日、道に白いつぶがまいてあることがあるよ。何だと思う?」
- 塩のなかま
- 砂糖
- 小麦粉
塩のなかま(塩化ナトリウムや塩化カルシウムなど)。とけた水がこおりにくくなり、道がすべりにくくなる。まかれたつぶは、さわったり口に入れたりしない。
海→ 冷たさ(1段目)
「海の水は、0度まで冷えたら、こおると思う?」
- こおる
- まだこおらない
- 海の水は、ぜったいにこおらない
海の水は塩がまざっているので、0度ではこおらず、マイナス2度近くでこおりはじめる。寒い海では、海の水がこおった氷(海氷)ができる。
スーパーのアイス売り場→ アイスの中身(2段目)
「アイスのふたには、どれも「アイスクリーム」と書いてあると思う?」
- どれも書いてある
- 書いていないものもある
- アイスには字が書いていない
書いていないものもある。ふたの「種類別」には、アイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイス・氷菓の4つがあり、牛乳の成分の量で分かれる。冷凍ケースは、見たらすぐ閉めよう。
ソフトクリームやさん→ 行き先(3段目)
「ソフトクリームと、カップのアイス。食べるとき、どっちが冷たいと思う?」
- ソフトクリーム
- カップのアイス
- 同じ
食べごろの温度は、ソフトクリームがマイナス5〜7度くらい、かためたアイスクリームがマイナス8〜14度くらい。
夏のあつい日→ とけるとき・かわくとき(1段目)
「あせをかいて、そのあせがかわくとき、体は冷える? あたたまる?」
- 冷える
- あたたまる
- 変わらない
あせは、かわく(蒸発する)とき、体から熱をうばう。しめった日や風のない日は、あせがかわきにくく、体が冷えにくい。
かき氷やさん→ 寄り道(清少納言の削り氷)
「かき氷は、1000年くらい前の日本にも、あったと思う?」
- あった
- なかった
- きのうできた
平安時代の『枕草子』に、削った氷に甘いシロップ(あまづら)を入れて、金属の器に入れたものが出てくる。今のかき氷のようなものと考えられている。
🔎 もっと知りたい人へ
このタネは、氷と塩から3つの段で深めます。「氷に塩をまぜると0度よりずっと冷たくなる」「とけるとき・かわくとき、まわりから熱をうばう」(1段目・性質)から、アイスの中の空気(2段目・素材)をへて、賞味期限や冷凍庫・エアコンへ広がります(3段目・行き先)。ノーベル賞などの話は、段とは別の「寄り道」にまとめました。どの段で止まってもかまいません。
🟢 氷に塩をまぜると、0度よりずっと冷たくなる。氷はとけるとき熱をうばう1段目・なんで?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|牛乳のふくろは、アイスになる?5さい〜
「牛乳と砂糖を入れたふくろを、塩をまぜた氷の中で、10分ふるよ。アイスになると思う?」
💭 答えに詰まったら
「ジュースを冷凍庫に入れておくと、どうなる? 塩をまぜた氷は、冷凍庫に近いくらい冷たくなるんだ。そこに牛乳を入れたら?」
それでも出てこないときは3択に。
- アイスになる
- 牛乳のまま
- しょっぱいアイスになる
牛乳などのアレルギーがある子は、はじめに材料をおうちの人が確かめよう。用意するのは、冷凍用のチャック付きポリぶくろ大・小1まいずつ、牛乳200mL、砂糖大さじ3、氷(なるべく小さな氷を、大きいふくろにいっぱい)、塩大さじ3(多めにすると、もっと冷える)、タオル。小さいふくろに牛乳と砂糖を入れて口をしっかりしめ、氷と塩を入れた大きいふくろに入れて口をしめる。タオルでつつんで、おうちの人と交代で10分ほどふろう。ふくろを素手で長く持たない。かたまっていなければ、もう少しふる。できたら、小さいふくろの外の塩水を水で流してから開けて、その日のうちに食べよう。
たねあかしアイスになるよ。塩をまぜた氷は0度よりずっと冷たいから、ふくろの中の牛乳が少しずつこおっていくんだ。ふって牛乳を動かしながら冷やすと、全体がやわらかくかたまる。ふくろが分かれているから、しょっぱくはならないよ。冷凍庫がなかったころも、同じように氷と塩で冷やして、アイスを作っていたんだ。
✅ ここで終わってもOK塩をまぜた氷は、冷凍庫がなくても、牛乳をアイスにできるくらい冷たい。
🗣️ 話すなら|とけているのに、どうして冷たくなる?小学生〜
「塩をまぜると、氷は早くとけていく。とけているのに、どんどん冷たくなるのは、なんでだと思う?」
💭 答えに詰まったら
「ジュースに氷を入れると、ジュースは冷えていくね。氷がとけるとき、ジュースの熱は、どこへ行っているのかな?」
それでも出てこないときは3択に。「3つから選んでみよう。氷がとけるとき、まわりの熱はどうなると思う?」
- 氷にうばわれる
- 氷から出てくる
- どこにも行かない
コップに氷をいっぱい入れて、水を大さじ3くらい入れ、マイナスの温度まではかれる料理用の温度計ではかろう(0度くらい。体温計でははかれない)。塩を大さじ3くらい入れて、スプーンでよくまぜ、もう一度はかる。温度計でかきまぜない(われることがある)。冷えたコップは長くさわらない。温度計がなければ、コップの外に霜がつくかを見る。霜がつけば、0度より下がったしるし。
たねあかし氷は、とけて水になるとき、まわりから熱をうばうんだ。だから、氷を入れたジュースは冷える。塩のない氷水は、0度より下がらない。でも塩がまざると、0度より冷たくても氷がとけ続けて、そのたびに熱をうばう。だから、0度よりずっと冷たくなるんだよ。
🌀 もう一歩
「手の消毒のアルコールをつけると、ひやっとするのはなんで?」
アルコールが、かわいて気体になるとき、手から熱をうばうから。あせがかわくときも同じだよ。氷がとけるときも、アルコールやあせがかわくときも、まわりから熱をうばうんだ。
✅ ここで終わってもOK氷はとけるとき、まわりから熱をうばう。塩がまざると、0度より冷たくてもとけ続ける。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
氷と塩で、何度まで下がる?氷に食塩をまぜると、マイナス20度くらいまで下げることができます(氷の大きさや塩の量で変わります)。大学の実験では、細かいかき氷100gに食塩30gをまぜてマイナス21.2度。小学校の実験の記録では、細かくくだいた氷150gに食塩50gと水50mLをまぜ、その中に立てた試験管の水が、12〜13分でマイナス16〜20度まで下がりました(3回の記録)。
なぜ冷たくなるのか(凝固点降下)水に塩がとけると、こおりはじめる温度が0度より低くなります(凝固点降下)。そのため、0度より冷たくても氷がとけ続けます。氷はとけるとき、まわりから熱をうばい(融解熱)、塩が水にとけるときにも熱をうばうので、温度が下がります。いちばん濃い食塩水は、マイナス21.3度までこおりません。
すがたが変わるとき、熱が動く液体が気体になるときも、まわりから熱をうばいます。あせがかわく(蒸発する)と体が冷えるのは、このためです。反対に、気体が液体になるときは、まわりに熱を出します。冷蔵庫の放熱の管でも、冷媒が気体から液体にもどりながら熱を出しています。
✏️ やってみよう
- 氷だけのコップと、塩をまぜたコップの温度を、マイナスの温度まではかれる料理用の温度計ではかってくらべよう(温度計でかきまぜない)。
- 計算: 氷300gに、氷の3分の1の重さの塩をまぜる。塩は何g?
→ 次の段へ: 「アイスは、なにでできているの? ふわっとしているのは、なぜ?」
🟡 カップのアイスは、氷のつぶと、牛乳や砂糖などの成分と、たくさんの空気でできている2段目・なにでできてる?(小学生〜)
🗣️ 話すなら|アイスの中には、空気が入っている?小学生〜
「コップに入れたアイスの高さに、印をつけてからとかすよ。とけたら、印より上になるかな? 下になるかな?」
💭 答えに詰まったら
「アイスを口に入れると、ふわっと軽いね。あのふわっとしたところには、何がかくれているのかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- 印より上
- 印より下
- 印とぴったり同じ
とうめいなコップにアイスを大さじ3くらい入れて、スプーンでぎゅっとおして、すき間をなくす。上を平らにならして、アイスの高さにテープで印をつける。お皿の上に置いて、とけるまで待とう(部屋の温度で30分〜1時間)。とけたら、上のあわの下の、液の高さを印とくらべよう。とけたものは食べない。
たねあかし印より下になるよ。アイスには、目に見えないほど小さな空気のあわが、たくさんまぜこんである。工場では、かきまぜて空気を入れながらこおらせているんだ。1リットルのもとに1リットルの空気をまぜると、2リットルのアイスになる。とけると、あわがつぶれて空気がぬけるから、かさがへるんだよ。空気の少ないアイスだと、へり方は小さいよ。
🌀 もう一歩
「アイスのふたの「種類別」に、「アイスクリーム」じゃない名前が書いてあるアイスもあるよ。なんでだと思う?」
牛乳の成分がどれだけ入っているかで、アイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイス・氷菓の4つに分かれるから。ふたで探してみよう。
✅ ここで終わってもOKアイスのふわっとした食感は、空気のおかげ。とかすと、かさがへる。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
アイスのつくりアイスクリームなどのアイスは、脂肪やたんぱく質、糖類などの成分と、水、空気からできています。拡大すると、小さな氷の結晶、脂肪のつぶ、空気のあわが、細かく均一に散らばっています。
空気の割合(オーバーラン)1リットルのもと(ミックス)に1リットルの空気をまぜると、2リットルのアイスになり、オーバーランは100%。牛乳を使った一般的なアイスは40〜100%で、低いとコクのある味に、高いとふわっと軽い食感になります。
ふたの「種類別」は4つふたやふくろの「種類別」には、アイスクリーム・アイスミルク・ラクトアイス・氷菓のどれかが書かれています。国のきまりで、アイスクリームは乳固形分15.0%以上(うち乳脂肪分8.0%以上)、アイスミルクは10.0%以上(うち3.0%以上)、ラクトアイスは3.0%以上。氷菓は、それ以外のものです。
✏️ やってみよう
- 家の冷凍庫のアイスで「種類別」を探して、4つのどれか分けてみよう(見たら、すぐ冷凍庫に戻す)。
- 計算: 1リットルのもとに、0.6リットルの空気をまぜた。アイスは何リットル? オーバーランは何%?
→ 次の段へ: 「アイスは、どこで、どうやって冷やされているの?」
🟣 マイナス18度の冷凍庫へ。冷やすひみつは、あせがかわくのと同じ3段目・なにになる?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|アイスのふくろに、「おいしく食べられる日づけ」は書いてある?5さい〜
「牛乳パックには「おいしくのめるのは、この日まで」という日づけ(賞味期限)が書いてある。アイスのふくろにも、書いてあるかな?」
💭 答えに詰まったら
「アイスは、いつも冷凍庫の、とっても冷たいところにいるね。冷たいところでは、食べ物はわるくなりやすい? わるくなりにくい?」
それでも出てこないときは3択に。
- 書いてある
- 書いてないことが多い
- 「とけるまで」と書いてある
家の冷凍庫のアイスを1つ出して、ふくろやふたの字を、おうちの人と探してみよう。「賞味期限」はあるかな。かわりに「要冷凍(-18℃以下保存)」のような字があることが多い。見たら、すぐ冷凍庫に戻そう。
たねあかし書いてないことが多いんだ。冷凍庫の中は、塩をまぜた氷のように、0度よりずっと冷たい。ずっとその冷たさなら、ばいきんはふえず、味もほとんど変わらない。だから「おいしく食べられるのは、この日まで」の日づけ(賞味期限)を書かなくてもよい、というきまりなんだ。そのかわり「マイナス18度以下でしまってね」と書いてあることが多いよ。
🌀 もう一歩
「冷凍庫を何回も開けたりしめたりすると、アイスはどうなると思う?」
開けたりしめたりして冷たさが変わると、アイスの中の氷のつぶが大きくなって、おいしさが落ちる。だから、買ってきたアイスは早めに食べよう。
✅ ここで終わってもOKアイスは、マイナス18度より冷たくしまえば長もちする。だから、日づけを書かなくてよい。
🗣️ 話すなら|冷蔵庫の横は、あたたかい?小学校高学年〜
「冷蔵庫の中は、いつも冷たい。では、冷蔵庫の横のかべに、手のひらを当ててみたら、冷たいかな? あたたかいかな?」
💭 答えに詰まったら
「冷蔵庫の中からうばった熱は、消えてなくなるのかな? それとも、どこかへ運び出されるのかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- あたたかい
- 冷たい
- ふわふわ、やわらかい
冷蔵庫の横のかべを、まず大人がさわって、熱すぎないか確かめよう。それから、手のひらをそっと当ててみる。長く当てない。手がとどくところで、場所を変えてくらべよう。いすにのぼらない。うしろのすきまに手を入れない。コードやコンセントにはさわらない。あたたかさは、季節や冷蔵庫でちがうよ。
たねあかしさわると、あたたかいことが多いよ。冷蔵庫の中では、冷やすための液が、細い管をめぐっている。液が気体に変わるとき、まわりから熱をうばって、中を冷やすんだ。あせがかわくと、体が冷えるよね。それと同じ。その気体をぎゅっとおしちぢめると熱くなるから、その熱を、かべの中などの管から外へ出しているんだよ。うしろや下から出す冷蔵庫もあるよ。
🌀 もう一歩
「夏、エアコンの外の機械から、熱い風が出ているのはなんで?」
エアコンの冷房も、冷蔵庫と同じように、部屋の熱を運んで外へ出しているから。外の機械から出る熱い風の熱は、もともと部屋にあった熱なんだ。
✅ ここで終わってもOK冷蔵庫は、液が気体に変わるときに熱をうばって中を冷やし、うばった熱を外へ出している。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
冷やす仕組み(冷凍サイクル)冷媒は、圧縮機(コンプレッサー)でおしちぢめられて高温の気体になり、放熱する管で熱を外へ出して液体になります。細い管を通って圧力が下がると、冷却器で気体に変わり、まわりから熱をうばいます。いまの日本の家庭用冷蔵庫の多くは、冷媒にイソブタンを使っています。
賞味期限を書かなくてよいわけ国の食品表示基準では、アイスクリーム類や冷菓、砂糖、食塩などは、賞味期限の表示を省略できます。アイスクリーム類は、マイナス18度以下で保存すれば、細菌が増えず、品質の変化もきわめてわずかだからです。省略したときは、アイスの業界のきまり(公正競争規約)で「-18℃以下で保存してください」などと書きます。
- 🧊 家の冷凍庫・冷凍食品
- 家の冷凍庫はマイナス18度くらい。冷凍食品は、作ってから売るまで、マイナス18度以下に保たれる
- 🏭 アイスの工場
- かきまぜて空気を入れながら半分こおらせ、マイナス30度以下の部屋で固める。マイナス18度以下で出荷
- 🍦 ソフトクリーム
- マイナス5〜7度くらいにして、固めずにそのまま食べる
- ❄️ エアコン
- 冷蔵庫と同じように、部屋の熱を冷媒で外へ運ぶ。外の機械から出る熱い風の熱は、もともと部屋にあった熱
- 🛣️ 冬の道
- 塩のなかま(融雪剤)をまいて、とけた水をこおりにくくし、道がすべるのをふせぐ
✏️ やってみよう
- 冷蔵庫の本体にはってある表示(品質表示ラベル)や説明書で、冷媒の名前(「R600a」「イソブタン」など)を探してみよう。
- 計算: マイナス18度の冷凍庫から出したアイスが、マイナス8度になった。何度上がった? 温度計の目もりで数えてみよう。
📎 寄り道(コラム)
段の本筋を読まなくても、1本ずつで読める寄り道です。むかしの人の工夫から空の上の話まで、身の回りの冷たいものにつながる話を集めました。
寄り道1・明治のアイスやさん
横浜の「あいすくりん」と、氷と塩(1869年)
1860年(万延元年)、アメリカに着いた幕府の使節団は、むかえの船の上で、アイスクリームのもてなしを受けました。使節団の人の日記には、口に入れるとすぐにとけ、とても甘くておいしい、と書かれています。1869年(明治2年)6月(新暦7月)には、横浜の馬車道通りで、町田房蔵さんが「あいすくりん」を売り出しました。日本人が作って売ったアイスクリームの、はじまりとされています(横浜に住む外国の人向けの店は、それより前にありました)。冷やすのに使ったのは、氷と塩。値段は50銭(金2分)で、当時、工場で働いていた女の人の、ひと月のお給料の半分ほど。とても高いものでした。1964年には、東京アイスクリーム協会(当時)が5月9日を「アイスクリームデー」に決め、いまも5月9日は「アイスクリームの日」です(あいすくりんを売り出した日とは別の日です)。
寄り道2・千年前のおやつ
清少納言の「削り氷」(1000年前後)
平安時代の中ごろ(1000年前後)に清少納言が書いた『枕草子』の「あてなるもの」(上品なもの)の段に、「削り氷(けずりひ)にあまづら入れて、新しき金鋺(かなまり)に入れたる」とあります。削った氷に、甘葛(あまづら。つる草の一種で、汁が甘い)のシロップを入れて、新しい金属の器に入れたもの、という意味です。今のかき氷のようなものだったと考えられています。冷凍庫のない時代、夏の氷は、冬に切り出して「氷室(ひむろ)」にしまっておいたものでした。
寄り道3・ノーベル賞は意外と身近
冷蔵庫の中の液と、空(そら)のオゾン層(1995年 化学賞)
冷蔵庫の中をめぐる冷媒には、かつて「フロン」が使われていました。人にとって安全で、こわれにくい物質として、クーラーやスプレーにも使われました。ところが1974年、シャーウッド・ローランドさんとマリオ・モリーナさんは、フロンが空の高いところ(成層圏)まで上がると、強い紫外線でこわれて塩素を出し、その塩素がオゾンをくり返しこわすことを示しました。オゾン層は、生き物に害のある紫外線をさえぎっています。1970年にべつの物質(窒素酸化物)がオゾンをこわす仕組みを示したパウル・クルッツェンさんとともに、3人は1995年にノーベル化学賞を受けました。1987年にはモントリオール議定書が結ばれ、世界でフロンを減らしてきました。いまの日本の家庭用冷蔵庫の多くは、フロンを使わない冷媒(イソブタン)を使っています。
寄り道4・冬の道の工夫
雪の道に、塩をまくわけ
雪のふる地方では、冬の道路に「融雪剤」をまくことがあります。使われるのは、塩化ナトリウム(食塩)、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど、塩のなかまです。塩がまざった水は、0度より冷たくならないとこおりません。だから、雪や氷がとけた水が冷えても、こおりにくく、道がすべりにくくなります。こおりはじめる温度がいちばん低くなるのは、食塩ならマイナス21度くらい、塩化カルシウムならマイナス51度くらいと、塩のなかまによってちがいます。0度より冷たくしても、こおらずに水のままの塩水は、遠洋漁業で、とった魚を冷やしてこおらせるのにも使われています。
寄り道5・数字の寄り道
アイスをいちばん買うのは、何月?(2025年)
総務省の家計調査(二人以上の世帯)によると、2025年に1世帯がアイスクリーム・シャーベット(氷菓子などもふくむ)に使ったお金は、1年でおよそ1万3千円でした。2025年を月ごとに見ると、いちばん多いのは8月で1,906円、いちばん少ないのは2月で581円。8月は2月の3倍くらいです。ところが、11月(740円)より12月(834円)のほうが多いのです。2021年から2025年までは毎年、12月が11月より少し多くなっています(2022年は3円差)。「だんぼうのきいた部屋で、冷たいものが食べたくなる?」「年末は家族が集まる?」と、親子で考えてみよう。
入口は、コップの氷と塩。真ん中は「氷に塩をまぜると0度よりずっと冷たくなる」と「とけるとき・かわくとき、まわりから熱をうばう」の2つ。出口は、冷凍庫にも、エアコンにも、冬の道にもつながります。ふくろの中で、牛乳がかたまりはじめる手ごたえが、このタネのゴールです。
- 📘 凝固点降下
- 水に塩などがとけると、こおりはじめる温度(凝固点)が0度より低くなること。食塩水は、濃いほど低くなる。
- 📘 オーバーラン
- アイスにまぜこんだ空気の割合。1リットルのもとに1リットルの空気をまぜて2リットルになると、100%。
- 📘 冷媒
- 冷蔵庫やエアコンの管をめぐり、液体と気体に変わりながら熱を運ぶ物質。液体から気体になるとき、まわりから熱をうばい、気体から液体になるときは、熱を出す。
✏️ やってみよう
(1) 氷300gに、氷の3分の1の重さの塩をまぜる。塩は何g? 氷と塩をあわせると何g?
こたえを見る
300÷3=100 なので、塩は100g。あわせて400g。氷3に塩1くらいが、よく冷えるめやす。
(2) アイスのもと1リットルに、空気を0.6リットルまぜた。アイスは何リットル? オーバーランは何%?
こたえを見る
1+0.6=1.6 なので、1.6リットル。まぜた空気はもとの量の0.6倍なので、オーバーランは60%。
🔗 ほかにも
雪の日の道に、塩のなかまをまくことがある。塩がまざった水は0度ではこおらないので、道がこおりにくくなる。海の水も、0度ではこおらない。