🏗️ ショベルカーのうでを動かすのは何?力持ちのひみつは、つつの中の油
ペットボトル2本から、「なんで?」「なにでできてる?」「なにになる?」の3段で、ショベルカーからダンプカー・クレーン車まで深める「つながるタネ」です。どの話にも、詰まったときのヒントと3択があり、途中で終わっても1つの会話になります。5〜6歳なら、入口 → 1話目 → 2話目がおすすめ。1〜2話目は、針のない注射器(同じ太さ2本と、太いもの1本)とチューブを使います。ないときは、入口 → 5話目。
🗺️ このタネの地図
入口(身の回り)
- ペットボトル
- 工事現場のショベルカー
- 自転車の空気入れ
- 力こぶ
- 天気予報のヘクトパスカル
- ごみ収集車
- クレーン車
1段目・なんで?(性質)
- 縮まない — 水や油は、おしてもほとんど縮まない
- おしあいっこ — 細いほうをおすと、太いほうから大きな力が出る
2段目・なにでできてる?(素材)
- 作動油(すべりをよくし、さびを防ぐ油)
- エンジンとポンプ・切りかえの弁・シリンダー
3段目・なにになる?(行き先)
- 🚚 ダンプカー
- 🏗️ クレーン車
- 📦 フォークリフト
- 🚛 ごみ収集車
- 🚜 ブルドーザー・トラクター・コンバイン
- 🚗 車のブレーキ
📎 寄り道(コラム)— 段には入れず、横に置いた話
- 1人で100人とつり合う、パスカルの入れ物(1663年に出版)
- 人のうでと、ショベルカーのうで
- 遠くから動かすショベルカー(雲仙普賢岳・1994)
- 重さ750トンをこえる油圧ショベル
- ショベルカーの、いくつもの名前
出発点はどこでもかまいません。話は「水や油は、おしてもほとんど縮まない」と「細いほうをおすと、太いほうから大きな力が出る」に集まり(1段目)、作動油とポンプ(2段目)をとおって、はたらく車や車のブレーキに広がります(3段目)。人物や災害の話は、寄り道に置いています。
入口「ペットボトル」から話す
① といかけ
「ショベルカーのうでには、ピカピカの棒が出たり入ったりする、太いつつがついているんだ。そのつつの中には、何が入っていると思う?」
💭 答えに詰まったら
「つつには、ホース(くだ)がつながっているんだ。ホースで送るものって、なんだろう?」
それでも出てこないときは、3択にしてみましょう。
- 空気
- 油
- ジュース
当たっても外れても、「なんでそう思ったの?」と理由を聞いてから②へ進むと会話が続きます。
② かんさつ
同じペットボトルを2本。1本はからっぽ、もう1本は流しで水を口までいっぱいに入れて、どちらもふたをしっかりしめる。ぎゅっとにぎってくらべよう。からっぽのほうはへこんで、手をはなすと戻る。水のほうは、かたくてほとんどへこまない。ショベルカーのうでの、のび縮みする棒とつつも探してみよう。工事現場のそばなら、さくの外から大人といっしょに(中には入らない)。写真や図鑑、おもちゃでもいいよ。
③ たねあかし
つつの中には、水みたいに流れる、油が入っているんだ。油をぎゅっとおしこむと、中の棒がのびて、うでが動く。空気はおすと縮むけど、水や油は、おしてもほとんど縮まない。だから、油をおしこんだぶんだけ、棒がおし出されるんだよ。
✅ ここで終わってもOK(今日のひとこと)ショベルカーのうでを動かすのは、つつの中の油。油はおしてもほとんど縮まないから、おしこんだぶんだけ、棒が出てくる。
🌀 もう一歩
「じゃあ、注射器を2本、チューブでつないで水を入れたら、片方をおすと、もう片方はどうなると思う?」
ここで終わらせず、もう一往復すると会話になります。
💬 こう聞かれたら
「油って、料理に使う油と同じ?」→「どちらも『油』とよぶけれど、料理の油とは別のもので、機械のために作った油(作動油)なんだ。多くは、石油からとった油に、さびを防ぐ薬などをまぜてある。料理には使えないし、さわったりなめたりしないでね」 「空気で動く機械はないの?」→「空気でおして動かす機械もあるよ。でも空気は縮みやすいから、思ったところでぴたっと止めるのがにがて。重いうでを動かすショベルカーには、油が向いているんだ」 「電気で動くショベルカーはあるの?」→「エンジンで動くものがほとんどだけど、電気で動くショベルカーも、もう使われているよ。電気のものも、モーターでポンプを回して、うでは油でおして動かすんだ。エンジンと電池を組み合わせたショベルカーもあるよ」
⚠️ 安全メモ
工事現場には入らない。ショベルカーは、さくの外から大人といっしょに見る。工事の車が出入りする入り口の前に立たない。動いている重機には近づかない(運転席から見えないところがあり、とくにうしろが見えにくい。上の部分が回ると、うしろの部分もいっしょに回ってくる)。注射器は針のないものを使い、口に入れない。水を人の顔や耳に向けない。チューブが外れて水が飛ぶことがあるので、流しやお風呂場でやり、注射器やチューブに顔を近づけない。おしあいっこは力を入れすぎない。油は床にこぼさない(すべる)。機械の油は、さわったりなめたりしない。
🚪 ほかの入口から話す
その日の場面に合うものを1つ選んで、といかけから始めます。◯が正解ですが、外れても止めずに「おしい、じゃあ確かめてみよう」と続けます。
自転車の空気入れ→ 縮まない(1段目)
「自転車の空気入れの口を、指でふさいでおすと、どうなると思う?」
- ぐっとおし返される
- すっと最後までおせる
- 空気入れがこわれる
とじこめた空気はおすと縮み、おすほどおし返す力が大きくなる(小学4年の理科)。水や油は、ほとんど縮まない。口を人の顔に向けない。
工事現場のそば→ エンジンとポンプ(2段目)
「ショベルカーの上の部分は、ぐるっと1周回れると思う?」
- 1周回れる
- 半分だけ回れる
- 回れない
全旋回できるので、せまい場所でも使える(コベルコ建機)。上の部分が回ると、うしろの部分もいっしょに回ってくる。うしろは運転席から見えにくいので、さくの外から見る。
力こぶ→ 寄り道(人のうで)
「うでを曲げて力こぶを作るとき、力こぶの筋肉は、縮む? のびる?」
- 縮む
- のびる
- 変わらない
曲げるときは内がわ、のばすときは外がわの筋肉が縮む(小学4年の理科)。ショベルカーのシリンダーは、1本でのびも縮みもする。
天気予報・台風のニュース→ 寄り道(パスカル)
「天気予報で聞く「ヘクトパスカル」の「パスカル」って、何だと思う?」
- 人の名前
- お菓子の名前
- 星の名前
おす強さ(圧力)の単位パスカルは、フランスの科学者ブレーズ・パスカル(1623〜1662年)の名前から。ヘクトは100倍のこと。
ごみ収集車を見た日→ 行き先(3段目)
「ごみ収集車は、集めたごみを、どうやって車の中へおしこんでいると思う?」
- 油のつつで板を動かす
- 人が足でふんでいる
- 風でふきこんでいる
ごみをおしこむ板や、つぶす板は、油のつつ(シリンダー)で動かす(日本フルードパワー工業会)。作業中の車のうしろには近づかない。
クレーン車を見た日→ 行き先(3段目)
「クレーン車の長いうで(ブーム)は、どうやってのびると思う?」
- 油のつつでおし出す
- 風船みたいにふくらむ
- 人が引っぱり出す
ブームののび縮みも、起こす・たおすも、油のつつで動かす(段の多いブームは、ワイヤーと組み合わせるものもある)。クレーン車は、動きのほとんどを油で動かす(タダノ)。つった荷物の下に入らない。
🔎 もっと知りたい人へ
このタネは、ペットボトルから3つの段で深めます。「水や油は、おしてもほとんど縮まない」「細いほうをおすと、太いほうから大きな力が出る」(1段目・性質)から、作動油とエンジン・ポンプ(2段目・素材)をへて、ダンプカーや車のブレーキへ広がります(3段目・行き先)。人物や災害の話は「寄り道」にまとめました。どの段で止まってもかまいません。
🟢 水や油は、ほとんど縮まない。細いほうをおすと、太いほうから大きな力が出る1段目・なんで?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|注射器をつなぐと、向こうの棒はどうなる?5さい〜
「注射器を2本、チューブでつないで、中に水を入れたよ。こっちの棒をおすと、向こうの棒はどうなると思う?」
💭 答えに詰まったら
「水は、おしてもほとんど縮まないんだ。こっちからおし出された水は、どこへ行くと思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- 向こうの棒が出てくる
- 向こうの棒も引っこむ
- どっちも動かない
用意するのは、同じ太さの針のない注射器2本と、先にぴったり合うやわらかいチューブ。流しかお風呂場で、水を入れてつなぐ(あわはできるだけ追い出す)。片方をゆっくりおしてみよう。次に、向こうの棒を指で軽くおさえながらおす。最後に、空気だけでくらべよう。注射器やチューブに顔を近づけない。水を人に向けない。口に入れない。注射器がなければ、たねあかしを読むだけでもOK。
たねあかし水だと、おしたぶんだけ、向こうの棒がすぐに出てくる。指でおさえると、ぐっとおし返される。水はほとんど縮まないから、おしこんだ水が、向こうの棒をおし出すんだ。空気だと、先にぐにゅっと縮むから、向こうの棒は、おくれて出たり、少ししか出なかったりする。ショベルカーも同じで、ホースから入った油が、棒をおし出しているんだよ。
✅ ここで終わってもOK水や油はほとんど縮まないから、同じ太さなら、おしたぶんだけ向こうの棒が出てくる。
🗣️ 話すなら|細いのと太いの、おしあいっこで勝つのは?5さい〜
「太い注射器と細い注射器をつないで、水を入れたよ。2人が同じくらいの力でおしあいっこをしたら、勝つのはどっちをおす人だと思う?」
💭 答えに詰まったら
「つないだ注射器の中の水は、どこでも同じ強さでおしているんだ。水におされるゴムのところが広いのは、細いほうかな? 太いほうかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- 細いほうをおす人
- 太いほうをおす人
- かならず引き分け
太さのちがう針のない注射器2本を、チューブでつないで水を入れる(流しかお風呂場で)。子どもが細いほう、大人が太いほうを持って、ゆっくりおしあいっこ。大人は、子どもと同じくらいの力で、そっとおす。力を入れすぎない。顔を近づけない。水を人に向けない。次に1人で、細いほうをおしこんで、太いほうの棒がどれだけ出てくるか見てみよう。注射器がなければ、たねあかしを読むだけでもOK。
たねあかし同じくらいの力でおしたら、勝つのは、細いほうをおす人。つないだ注射器の中の水は、どこでも同じ強さでおしている。太いほうの棒は、ゴムのところが広いぶん、大きな力でおし返されるんだ。だから、太いほうの人は、もっと大きな力でおさないと負けてしまう。そのかわり、細いほうをたくさんおしても、太いほうは少ししか動かないよ。
🌀 もう一歩
「細いほうを、ぐーっと長くおしこんだら、太いほうの棒は、どれくらい出てくると思う?」
ちょっとだけ。力が大きくなるかわりに、少ししか動かない。力と動く長さは、とりかえっこなんだ。
✅ ここで終わってもOK細いほうを小さな力でおすと、太いほうから大きな力が出る。ショベルカーの太いつつも、このしくみで大きな力を出しているんだ。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
とじこめた空気と水とじこめた空気はおし縮められ、おすほど、おし返す力が大きくなります。水は、手でおしたくらいでは、おし縮められません(小学4年の理科。プラスチックの注射器などで確かめる)。本当は、水も、機械で使う油(作動油)も、とても強くおすと、ほんのわずかだけ縮みます。
おす強さ(圧力)は、つながったところ全体で同じ(パスカルの原理)とじこめた液体の一部をおすと、同じおす強さ(圧力)が、つながったところ全体に伝わります。ピストン(ゴムのところ)の広さが5倍なら、出てくる力も5倍(広さが1対5なら、50キログラム分の力と250キログラム分の力がつり合う)。そのかわり、太いほうが動く長さは5分の1です。
✏️ やってみよう
- 流しで、注射器に水と空気を半分ずつ入れ、先を指でふさいでおしてみよう。小さくなるのはどっち?(指のすきまから水が出ることがあるので、顔を近づけない)
→ 次の段へ: 「ショベルカーの中では、何が油をおしているの? なぜ水ではなく油なの?」
🟡 さびを防ぐ作動油と、油をおし出すポンプ・切りかえの弁・シリンダー2段目・なにでできてる?(小学生〜)
🗣️ 話すなら|なんで、水じゃなくて油なの?小学生〜
「水を使っても、つつの棒はちゃんとおし出せるんだ。なのにショベルカーは、なんで水じゃなくて油を使うと思う?」
💭 答えに詰まったら
「雨にぬれたままの鉄のくぎは、どうなるかな? 冬の朝の水たまりは、どうなっているかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- 水だと、さびたり、こおったりする
- 油のほうが、よく縮む
- 油のほうが、かっこいい
サラダ油と水を、小皿に1滴ずつ。指先につけて、親指と人さし指をこすり合わせてくらべよう。油のほうが、つるつるすべる。床にこぼさない(すべる)。油が目に入らないように。終わったら石けんで手を洗う。
たねあかし水だと、中の金属がさびてしまうんだ。雨にぬれた鉄のくぎみたいにね。それに、水は、油ほどつるつるすべらないよね。だから、こすれ合う部品がすりへりやすい。冬の水たまりみたいに、こおってしまうこともある。機械用の油(作動油)なら、さびを防いで、すべりもよくしてくれるんだよ。
✅ ここで終わってもOK油は、棒をおし出すだけでなく、部品のすべりをよくして、さびからも守っている。
🗣️ 話すなら|ショベルカーのエンジンは、何をしている?小学校高学年〜
「ショベルカーのエンジンは、うでをじかに動かしていると思う? それとも、別の仕事をしていると思う?」
💭 答えに詰まったら
「うでのつつのホースをたどると、本体の中へ入っていくんだ。本体の中で、何が油を送りこんでいると思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- うでを、じかにおしている
- 油のポンプを回している
- ラジオをつけている
ショベルカーの写真や図鑑で、うでにそってのびるホースを指でたどってみよう。本体から、うでの先のつつまでつながっているよ。
たねあかしエンジンは、油をおし出すポンプを回しているんだ。運転席のレバーをたおすと、切りかえの弁が、油をどのつつに、どっち向きに送るかを決める。つつのおくに油を送ると棒がのび、棒の出ている側に送ると縮む。上の部分が回るのも、走るのも、ふつうは油で回るモーター。電気のモーターで回るショベルカーもあるよ。
🌀 もう一歩
「ショベルカーの上の部分は、ぐるっと1周回れると思う?」
回れるよ。だから、せまい場所でも使える。そのかわり、上の部分が回ると、うしろの部分もいっしょに回ってくる。運転席からはうしろが見えにくいから、動いているショベルカーには近づかないでね。
✅ ここで終わってもOKエンジンは、油をおし出すポンプを回している。ふつうのショベルカーは、掘るのも回るのも走るのも、油で動かしている。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
作動油の役目作動油は、シリンダーやモーターを動かすほかに、部品のすべりをよくし(潤滑)、さびを防ぎ(防錆)、すきまをふさぎ(シール)、熱を運びます(冷却)。多くは、石油からとった油に、さびや泡を防ぐ薬などをまぜたもの。代表的なものは、マイナス30度まで流れます。
水だと、何がこまる?水は金属をさびさせ、すべりをよくする働きも油よりずっと弱いのです。0度より冷えるとこおり、100度をこえると気体になります。ただ、油は燃えることがあるので、火の心配がある工場などでは、水をまぜた燃えにくい作動油も使われます。
エンジン・ポンプ・切りかえの弁・シリンダーふつうの油圧ショベルは、掘る・回る・走るを、すべて油で動かします(エンジンと電池などを組み合わせたハイブリッドには、回るのを電気のモーターで行うものもあります)。エンジンが油圧ポンプを回し、切りかえの弁(メインコントロールバルブ)が、レバーに合わせて、各シリンダーや、回る・走るためのモーターへ油を分けます。シリンダーは、ピストンのどちら側に油を送るかで、のびたり縮んだりします。
✏️ やってみよう
- ショベルカーの写真で、ピカピカの棒のついたつつ(シリンダー)を探そう。ブーム・アーム・バケットのどれを動かしているかな?
→ 次の段へ: 「油や液体でおして動かすしくみは、ショベルカーのほかに、どこで使われている?」
🟣 ダンプカー・クレーン車・ごみ収集車、そして車のブレーキへ3段目・なにになる?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|ダンプカーの荷台は、どうやって下がる?5さい〜
「ダンプカーの荷台は、重い土をのせたまま、油でおして持ち上げるんだ。では、下げるときは、どうしていると思う?」
💭 答えに詰まったら
「すべり台のてっぺんで手をはなしたら、体はどうなるかな? 荷台はどうだろう?」
それでも出てこないときは3択に。
- 荷台の重さで下がる
- 油でおし下げる
- 運転手さんが手で下げる
はたらく車の図鑑や、工事現場のさくの外から、荷台を上げたダンプカーを見てみよう。荷台を持ち上げている、ピカピカの棒のついたつつが見つかるかな。動いている車や、上がった荷台には近づかない。
たねあかし荷台は、自分の重さで下がるんだ。レバーを「下げ」にすると、つつの中の油がタンクへ戻っていって、荷台が下がっていく。油でおすのは、持ち上げるときなんだね。クレーン車の長いうでをのばすのも、フォークリフトのフォークの上げ下げも、油のつつで動かしているよ。
🌀 もう一歩
「車のブレーキペダルをふむ力は、どうやって車輪まで届くと思う?」
ブレーキ用の液体(ブレーキフルード)が、ふむ力を、車輪のブレーキまで伝えているんだ。ショベルカーと同じ、液体でおすしくみだよ。
✅ ここで終わってもOKダンプカーの荷台は、上げるときは油でおして、下げるときは荷台の重さで下がる。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
ごみ収集車ごみ収集車には、回転板式とプレス式があります。回転板式は、ごみをかき上げる回転板を油で回るモーターで回し、ごみを荷箱へおしこむ板を油のシリンダーで動かします。プレス式は、ごみをおしつぶす板を油のシリンダーで動かします。
- 🚚 ダンプカー
- 油で荷台をおし上げ、下げるときは荷台の重さで下げる
- 🏗️ クレーン車
- ブームののび縮み、起こす・たおす、車体を支える足(アウトリガー)まで、ほとんどを油で動かす
- 📦 フォークリフト
- フォークの上げ下げや、柱(マスト)のかたむきを、油で動かす
- 🚛 ごみ収集車
- ごみをおしこむ板や、ごみをつぶす板を、油のシリンダーで動かす
- 🚜 ブルドーザー・トラクター・コンバイン
- 建設機械や畑の機械にも、油のシリンダーやバルブが多く使われている
- 🚗 車のブレーキ
- ふむ力を、ブレーキ用の液体(ブレーキフルード)が、車輪のブレーキへ伝える
✏️ やってみよう
- ごみ収集車を見かけたら、少しはなれたところから、ごみをおしこむ板が動くところを見てみよう。
📎 寄り道(コラム)
段の本筋を読まなくても、1本ずつで読める寄り道です。おす強さのきまりの始まりから、人のうでとのくらべっこ、災害の現場まで、ショベルカーのまわりの話を集めました。
寄り道1・名前のもとになった人
1人で100人とつり合う、パスカルの入れ物(1663年に出版)
とじこめた液体の一部をおすと、同じおす強さが全体に伝わる。この決まりは、フランスの科学者ブレーズ・パスカルさん(1623〜1662年)の名前から、パスカルの原理とよばれます。パスカルさんは論文に書きました。水でいっぱいの入れ物に、広さが100倍ちがう2つの口をあけ、ピストンをはめる。小さいほうを1人でおすと、大きいほうをおす100人の力とつり合う。そのかわり、大きいほうは100分の1しか動かない。論文は、亡くなった次の年の1663年に出版されました。天気予報の「ヘクトパスカル」のパスカルも、この人の名前からとった、おす強さ(圧力)の単位です。
寄り道2・体とくらべる
人のうでと、ショベルカーのうで
ショベルカーのうでは、人のうでに見立てられます。根もとの「ブーム」が、かたからひじまで。まん中の「アーム」が、ひじから手首まで。その先のつなぎ(バケットリンク)が手首、「バケット」が手のひら(コベルコ建機の説明から)。人のうでは、曲げるときは内がわ、のばすときは外がわの筋肉が縮みます。縮む筋肉とゆるむ筋肉が組になってはたらくのです。ショベルカーのシリンダーは、油を送る側を切りかえて、1本で、のばすことも縮めることもできます。力こぶをさわりながら、動きをまねしてみましょう。
寄り道3・災害の現場で
遠くから動かすショベルカー(雲仙普賢岳・1994年)
長崎県の雲仙普賢岳は、1990年11月、198年ぶりに噴火を始めました。1991年には大きな火砕流(熱い岩のかけらや灰と火山ガスが、いっしょに山をいっきに流れ下るもの)が起き、山のまわりには、人が入れない「警戒区域」ができました。そこにたまった土砂を取りのぞくため、遠くの操作室からカメラの映像を見て重機を動かす「無人化施工」が使われました。国(当時の建設省)が1993年に技術を募集し、1994年3月に現地で試したうえで、10月に警戒区域の中の工事が始まりました。はじめは操作室から重機まで約600メートル(あいだに中継の車)でしたが、2011年には、78キロメートルはなれた長崎市内から動かす実験も行われました。いまでは、熊本地震の現場など、全国の災害の現場で使われています。
寄り道4・とびきり大きい
重さ750トンをこえる油圧ショベル
鉱山で岩や土を掘る油圧ショベルには、とびきり大きいものがあります。たとえばコマツの鉱山用の油圧ショベルには、運転するときの重さが750トンをこえ、バケットに1回で42立方メートル(たて・よこ・高さが1メートルの箱42こ分)が入るものがあります。とても大きなダンプトラックに、土や岩を積みこむための機械です。こんなに大きくても、うでを動かすしくみは、工事現場のショベルカーと同じ、油でおすシリンダーです。
寄り道5・名前のひみつ
ショベルカーの、いくつもの名前
ふだん「ショベルカー」とよぶ機械には、いくつもの名前があります。作っている会社や、日本の工業の決まり(JIS)では「油圧ショベル」。国土交通省の工事の資料では「バックホウ」。はたらく人の安全を守る国の決まり(労働安全衛生法施行令)には、掘る機械として「パワー・ショベル」と「ドラグ・ショベル」が別々にならび、工事現場でよく見るものはドラグ・ショベル(バックホウ)にあたります。国の調査では、バケットが0.2立方メートルより小さいものを「ミニショベル」とよび分けています。
入口は、ペットボトル2本。にぎってもへこまない水のように、つつの中の油も、おしてもほとんど縮みません。だから、おしこんだぶんだけ棒が出て、太いつつなら大きな力になります。ダンプカーの荷台やクレーン車のうでも、同じしくみです。ショベルカーの力持ちは、手の中のペットボトルの「へこまなさ」から始まっています。
- 📘 パスカルの原理
- とじこめた液体の一部をおすと、同じおす強さ(圧力)が全体に伝わる、というきまり。細いピストンを小さな力でおすと、太いピストンから大きな力が出る。
- 📘 作動油
- 油でおして動かす機械の中で、シリンダーやモーターを動かすために使う油。部品のすべりをよくし、さびを防ぐ働きもある。
- 📘 シリンダー
- つつの中にピストンが入っていて、油などにおされて棒がのびたり縮んだりする部品。ショベルカーのうでや、ダンプカーの荷台を動かす。
✏️ やってみよう
(1) 細い注射器のピストン(ゴムのところ)の広さが1、太いほうが5。細いほうを2キログラム分の力でおすと、太いほうから出る力は? 細いほうを5センチおしこむと、太いほうは何センチ出る?
こたえを見る
力は5倍で10キログラム分。動く長さは5分の1で1センチ。力が大きくなるかわりに、動く長さは短くなる(本物は、ゴムのこすれで少し小さくなる)。
(2) とびきり大きい油圧ショベルは、1回で42立方メートルの土をすくう。その土を、たて・よこ1メートル、高さ2メートルの箱に入れると、何こ分?
こたえを見る
箱1こは、1×1×2=2立方メートル。42÷2=21 なので、21こ分。
🔗 ほかにも
ダンプカーの荷台や、クレーン車のうでも、ショベルカーと同じく、油でおして動かしている。小学4年の理科では、とじこめた空気と水をおしてくらべる。空気でっぽうや水でっぽうを作ることもあるよ。