🎞️ アニメはなぜ動いて見える?止まった絵とパラパラまんがのひみつ
ノートのはしのパラパラまんがから、「なんで?」「なにでできてる?」「なにになる?」の3段で、映画・テレビ・駅の流れる文字・ねんどのコマ撮りまで深める「つながるタネ」です。どの話にも、子どもが詰まったときのヒントと3択があります。途中で終わっても、その話だけで1つの会話になります。5〜6歳なら、入口 → 1話目 → 5話目の順がおすすめです(1話目は、入口でかいたパラパラまんがをそのまま使えます)。
🗺️ このタネの地図
入口(身の回り)
- ノートのはしのパラパラまんが
- アニメの一時停止
- 鳥とかごの回る絵
- 駅の流れる文字
- ねんど遊び
1段目・なんで?(性質)
- 速さ — 少しずつちがう絵をすばやく入れかえると、動きに見える
- 重なり — すばやく入れかわる2つの絵は、重なって見える(動きとは、べつのはたらき)
2段目・なにでできてる?(素材)
- コマ(1秒を24コマに分ける)
- 絵コンテ・原画・あいだの絵・色・背景・音
3段目・なにになる?(行き先)
- 🎬 映画
- 📺 テレビ・ゲームの画面
- 🚉 流れる文字の案内
- 🧸 ねんどや人形のコマ撮り
📎 寄り道(コラム)— 段には入れず、横に置いた話
- 鳥とかごの円ばんから、おどろき盤へ(1825〜1834年)
- 走る馬を写した12コマの写真(1878年)
- 日本のアニメーションのはじまり(1917年)
- 毎週のテレビアニメ(1963年)と、1秒に8枚の絵
- 「残像」だけでは、動きは説明できない
出発点はどこでもかまいません。話は「止まった絵をすばやく入れかえると、動きに見える」に集まり(1段目)、コマの数と絵を作る仕事(2段目)をとおって、映画や流れる文字、コマ撮りに広がります(3段目)。発明や歴史、研究の話は、寄り道として横に置いています。
入口「パラパラまんが」から話す
① といかけ
「アニメのキャラクターは、テレビの中で本当に動いていると思う? それとも、止まった絵だと思う?」
💭 答えに詰まったら
「まんがの本の絵は、ずっと見ていても動かないよね。アニメの絵は、まんがの本の絵と、どこがちがうと思う?」
それでも出てこないときは、3択にしてみましょう。
- 本当に動いている
- 止まった絵が、次々に入れかわっている
- テレビの中で、小さな人が演じている
当たっても外れても、「なんでそう思ったの?」と理由を聞いてから②へ進むと会話が続きます。
② かんさつ
用意するのは、使っていいノートかメモ帳と、えんぴつ。右下のはしに、小さなボールを1つかく。次のページには、ほんの少しだけ上にずらしてかく。これを5ページほど続ける(絵は大人がかいてもいい)。ページのはしを親指でおさえて、パラパラと速くめくってみよう。ノートがないときは、紙を2枚重ねて、下の紙にボール、上の紙に少しずらしたボールをかき、上の紙をすばやくめくったり戻したりする。えんぴつの先は、人の顔に向けない。
③ たねあかし
ボールは、動いて見えたかな? でも、1ページずつ見ると、どのボールも止まっているよね。アニメも同じなんだ。少しずつちがう止まった絵を、すばやく入れかえて見せている。「動いた!」と感じているのは、見ている人の目と、頭の中の脳なんだよ。
✅ ここで終わってもOK(今日のひとこと)アニメは、少しずつちがう止まった絵を、すばやく入れかえている。「動いた!」と感じているのは、見る人の目と脳。
🌀 もう一歩
「こんどは、うんとゆっくりめくってみて。ボールは、どう見えるかな?」
ここで終わらせず、もう一往復すると会話になります。
💬 こう聞かれたら
「本物の人が出てくるテレビや映画は、本当に動いているんでしょ?」→「テレビや映画も、止まった写真のような絵を、すばやく入れかえて見せているんだ。アニメとちがうのは、絵を人がかくか、カメラで写すかだよ」 「コンピューターで作ったアニメも、止まった絵なの?」→「コンピューターで作った絵も、1コマずつの止まった絵にして、入れかえて見せているよ」 「『残像』で動いて見えるって、聞いたことがあるよ」→「昔からよくある説明だね。でも心理学では、前の絵が目に残るだけでは、なめらかな動きには見えないと考えられているんだ。目と脳が、絵のちがいを動きとして受けとっている。くわしい仕組みは、いまも研究されているよ」 「なんで、テレビは部屋を明るくして、はなれて見るの?」→「目と体が楽なように、だよ。いまのテレビ番組は、光をはげしく点滅させないなどの決まりを守って作られている。1997年に、番組を見ていた子どもたちの具合が悪くなったことがあって、放送局が決まりを作ったんだ。明るい部屋で、はなれて見ることも、その決まりの中ですすめられているよ」
⚠️ 安全メモ
テレビやタブレットでアニメを見るときは、部屋を明るくして、画面からはなれて見る。見る時間は、家の人と決める。見ていて気分が悪くなったら、すぐに見るのをやめて、大人に知らせる。パラパラまんがは、かいていいノートや紙を家の人に聞いてからかく(教科書や本にはかかない)。えんぴつやストローの先を、人の顔に向けない。はさみは大人といっしょに使う。回している紙に、顔を近づけすぎない。駅の案内は、立ち止まって、黄色い線よりホームのまん中がわで見る(歩きながら見ない)。
🚪 ほかの入口から話す
その日の場面に合うものを1つ選んで、といかけから始めます。◯が正解ですが、外れても止めずに「おしい、じゃあ確かめてみよう」と続けます。
アニメを見たあと→ 入口・速さ(1段目)
「アニメを一時停止したら、走っていたキャラクターは、どうなると思う?」
- 止まった1枚の絵になる
- 画面から消える
- 足だけ動き続ける
止めると、入れかえて見せている止まった絵のうちの1枚が見える(部屋を明るくして、はなれて見る)。
工作の日→ 重なって見える(1段目)
「紙のおもてに鳥、うらに鳥かごをかいて、くるくる回すよ。鳥はどう見えると思う?」
- かごの中に入って見える
- 鳥だけが見える
- どちらも見えなくなる
おもてとうらがすばやく入れかわると、2つの絵が重なって見える(はさみは大人といっしょに)。
映画館→ コマの数(2段目)
「映画の1秒は、いくつのコマ(止まった絵)でできていると思う?」
- 2コマ
- 24コマ
- 1000コマ
映画は、1秒に24コマの止まった絵を次々に映している。
お絵かき・とうめいな下じき→ 絵を作る仕事(2段目の読みもの)
「コンピューターで色をぬるようになる前のアニメは、色をぬったキャラクターの絵を、何にかいていたと思う?」
- とうめいなシート
- 画用紙
- ガラスのコップ
とうめいなシート(セル)にかいた絵を、背景の絵の上に重ねて動かした。もっと古い日本のアニメーションには、切った紙を使うものも多い。
駅のホーム・お店の前→ 流れる文字(3段目)
「光る文字が横に流れていく案内。小さな明かりのつぶは、横に動いていると思う?」
- つぶが横に走っている
- つぶは動かず、ついたり消えたり
- 風で流されている
ならんだ明かりが、その場でついたり消えたりしている(駅では立ち止まって、黄色い線よりホームのまん中がわで)。
ねんど遊び→ コマ撮り(3段目)
「ねんどで作った人形を、アニメみたいに動いて見せるには、どうすると思う?」
- 少し動かしては、写真を1枚とる
- 人形に「動いて」とたのむ
- 人形を速く投げる
少し動かしては1枚とることをくり返し、写真を続けて見ると、動いて見える(コマ撮り)。
🔎 もっと知りたい人へ
このタネは、パラパラまんがから3つの段で深めます。「止まった絵をすばやく入れかえると、動きに見える」(1段目・性質)から、1秒24コマと絵を作る仕事(2段目・素材)をへて、映画・テレビ・流れる文字・コマ撮りへ広がります(3段目・行き先)。発明や歴史、研究の話は「寄り道」にまとめました。どの段で止まってもかまいません。
🟢 少しずつちがう絵を、すばやく入れかえると、動きに見える1段目・なんで?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|ゆっくりめくると、ボールは動く?5さい〜
「パラパラまんがを、うんとゆっくりめくるよ。ボールは、動いて見えると思う?」
💭 答えに詰まったら
「速くめくるときは、1枚の絵を見ていられる時間は長い? 短い? ゆっくりだと、どうかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- 速いときと同じように動く
- 1枚ずつの止まった絵に見える
- ボールが2つにふえる
ノートのはしに、ボールを少しずつずらしてかいたパラパラまんがを使う(まだなければ、使っていいノートに5ページほどかく。絵は大人がかいてもいい)。1ページずつ「いち、に」と数えながら、ゆっくりめくる。次に、親指でパラパラと速くめくる。見え方をくらべてみよう。
たねあかしゆっくりだと、ボールは1枚ずつの止まった絵に見えたね。速くめくると、つながって動いて見える。絵は同じなのに、入れかえる速さで、見え方が変わるんだ。アニメも、止まった絵をすばやく入れかえているから、動いて見えるんだよ。
🌀 もう一歩
「じゃあ、ボールを1ページごとに大きくずらしてかいたら、どう見えると思う?」
となりの絵とのちがいが小さいと、なめらかに見えやすい。大きくずらすと、なめらかには見えにくくなるよ。大きくずらしたパラパラまんがもかいて、くらべてみよう。
✅ ここで終わってもOK同じ絵でも、ゆっくりだと止まった絵、すばやく入れかえると動きに見える。
🗣️ 話すなら|鳥とかご、回すとどう見える?小学生〜
「紙のおもてに鳥、うらに鳥かごをかいて、くるくる回すよ。鳥は、どう見えると思う?」
💭 答えに詰まったら
「回すと、鳥の絵、かごの絵、鳥の絵…と、すばやく入れかわるよね。どちらか1つだけを、ずっと見ていられるかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- かごの中に入って見える
- 鳥だけが見える
- おもてもうらも見えなくなる
用意するのは、はがきくらいの厚さの紙、ストロー1本、テープ、太いペン。紙を、手のひらにのる大きさの四角に2枚切る(はさみは大人といっしょに)。1枚のまん中に、かごを大きく。もう1枚のまん中に、かごに入る大きさの鳥を、太くこくかく。絵を外がわにして、2枚でストローの先をはさみ、まわりをテープでとめる。ストローを両手ではさんで、こするように回す。顔からはなして回し、先を人に向けない。
たねあかし鳥が、かごの中に入って見えたかな? 目で見たものは、消えたあとも、ほんの少しのあいだ残って感じられる。これを残像というよ。鳥が残っているうちにかごが来るので、2つの絵が重なって見えるんだ。でも、これは絵が「重なる」はたらき。アニメが「動いて」見えるのは、またべつのはたらきなんだ。
🌀 もう一歩
「絵が重なって見えるのと、絵が動いて見えるのは、どこがちがうと思う?」
前の絵が残るだけだと、絵は重なるけれど、なめらかには動かない。動いて見えるのは、目と脳が、絵のちがいを動きとして受けとるからと考えられているよ。
✅ ここで終わってもOKすばやく入れかわる2つの絵は、重なって1つに見える。動いて見えるのとは、べつのはたらき。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
動いていないのに、動いて見える少しずつちがう止まった絵を続けて見ると、動いているように感じられます。心理学では、実際には動いていないものに見える動きを「仮現運動(かげんうんどう)」とよびます。脳には、目に映ったものの変化から動きを見つけ出す仕組みがあり、その仕組みに合う絵が目に入ると、動いて見えます。
残像と、動き見たものが、消えたあとも少しのあいだ残って感じられることを、残像といいます。鳥とかごの絵は、残像で2つの絵が重なって見える遊びです。いっぽう、「映画は残像によって動いて見える」という説明は、心理学では正しくないとされています。
✏️ やってみよう
- パラパラまんがで、ボールが「ゆっくり落ちる」と「速く落ちる」をかき分けてみよう。1ページごとのずらし方を、どう変えればいい?
→ 次の段へ: 「アニメの1秒は、何コマでできているの? 絵はどうやって作るの?」
🟡 1秒を24コマに。絵コンテ、原画とあいだの絵、色と背景、そして音2段目・なにでできてる?(小学生〜)
🗣️ 話すなら|アニメの1秒は、何コマ?小学生〜
「映画やアニメの1秒は、いくつのコマ(止まった絵)に分けて作られていると思う?」
💭 答えに詰まったら
「『いち』と数えるあいだに、パラパラまんがは何ページくらいめくれるかな? アニメは、それより多いと思う? 少ないと思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- 2コマ
- 24コマ
- 1000コマ
大人が「いち」と、1秒を数える。そのあいだに、ノートを何ページめくれるか、ためしてみよう。
たねあかし映画やアニメは、1秒を24に分けて、止まった絵をならべて作っている。この1つ分を「コマ」というよ。じゃあ、24コマ全部に、ちがう絵をかくと思う? テレビアニメでは、同じ絵を3コマ続けて使って、1秒に8枚ほどの絵で動かすことが多いんだ。
🌀 もう一歩
「1秒に8枚の絵で動かすとき、10秒の場面には、絵が何枚いると思う?」
8×10で、80枚。絵をかく人(アニメーター)は、動きのはげしさに合わせて、絵の枚数を変えることもあるよ。
✅ ここで終わってもOK1秒は24コマ。同じ絵を3コマずつ使うと、かく絵は1秒に8枚ですむ。
🗣️ 話すなら|手をふる絵は、どこからかく?小学校高学年〜
「キャラクターが手をふる動きをかくよ。絵は、1枚目から順番にかくと思う? それとも、大事な所を先にかくと思う?」
💭 答えに詰まったら
「手をふるとき、手がいちばん右に来たところと、いちばん左に来たところがあるよね。その2枚が先に決まっていたら、あいだの絵はどうなると思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- 1枚目から順番にかく
- 大事な所を先に、あいだをあとで
- 最後の絵から逆にかく
パラパラまんがで、ためしてみよう。先に、最初のページと最後のページの絵をかく。次に、まん中のページ。それから、あいだをうめていく。
たねあかし大事な所の絵を、先にかくんだ。動きのかなめになるこの絵を「原画」というよ。原画と原画のあいだの絵のことを、アニメを作る人たちは「動画」とよぶ。スマホで見る「動画」と同じ言葉だけど、ここでは、あいだをうめる絵のこと。そのあと、色をぬって、背景の絵と合わせて、声や音を入れると、アニメになるんだ。
✅ ここで終わってもOK大事な所の絵(原画)を先に、あいだをうめる絵をあとで。色、背景、音を合わせてアニメになる。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
1秒24コマ映画の「1秒に24コマ」は、音の出る映画が広まった1920年代に、決まった数として定められました。日本のアニメーションは、同じ絵を3コマ続けて撮る「3コマ打ち」が多いと言われ、その場合、絵は1秒に8枚で動きます。1秒あたりの絵の枚数がふえるほど、動きはなめらかになります。
絵を作る仕事の流れ東映アニメーションの説明では、絵をかく前に、作品の設計図になる「絵コンテ」を作ります。原画、あいだの絵、背景、色ぬりのあと、コンピューターの上で1つの絵に合わせ、セリフや効果音、音楽を入れます。テレビシリーズ1話の絵は、平均3,000〜4,500枚です。
とうめいなシート(セル)から、コンピューターへ1914年ごろ、とうめいなシートにかいた絵を重ねて動かす作り方(セル・アニメーション)が生まれ、その後のアニメ作りの基本になりました。いまは、色ぬりや重ね合わせを、コンピューターでする作り方が広まっています。
✏️ やってみよう
- パラパラまんがで、人が手を上げる動きをかこう。「手が下」「手が上」の2枚を先にかいてから、あいだを3枚でうめてみよう。
→ 次の段へ: 「同じやり方で動いて見えるものは、アニメのほかに、どこにある?」
🟣 映画、テレビ、流れる文字、ねんどのコマ撮りへ3段目・なにになる?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|流れる文字の明かりは、動いている?5さい〜
「駅やお店で、光る文字が横に流れていく案内を見たことある? あの小さな明かりのつぶは、横に動いていると思う?」
💭 答えに詰まったら
「文字は、右から左へ、どんどん流れていくよね。つぶもいっしょに流れているなら、つぶは左のはしにたまっていくはず。たまっているかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- つぶが横に走っている
- つぶは動かず、ついたり消えたり
- 風で文字が流されている
家の人とならんで立って、はしから順番に、手を上げてすぐ下ろしてみよう。だれも横に歩いていないのに、「手の山」が横に動いて見えるかな? おでかけのときは、流れる文字の案内を探そう。見るときは立ち止まって、駅では黄色い線よりホームのまん中がわで。明かりのつぶを1つ決めて、じっと見てみよう。
たねあかし明かりのつぶは、1つも動いていないんだ。その場で、ついたり消えたりしているだけ。光るつぶが、となり、またとなりへと入れかわると、文字が流れて見える。止まったものをすばやく入れかえて、動きに見せる。アニメとにているね。映画も、テレビも、ゲームの画面も、止まった絵を入れかえて見せているよ。
🌀 もう一歩
「ねんどの人形を、アニメみたいに動いて見せるには、どうすると思う?」
人形を少し動かしては、写真を1枚とる。これをくり返して、写真を続けて見ると、人形が動いて見える。コマ撮りアニメーションというよ。
✅ ここで終わってもOK流れる文字の明かりは、動いていない。光る場所が入れかわって、動いて見える。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
映画もテレビも、止まった絵の入れかえ映画、アニメ、テレビ、コンピューターの上の映像など、人が作った映像は、実際には動いていません。どれも、止まった絵を続けて見せています。
流れる文字の案内文字が流れる案内の板の多くには、LED という小さな明かりが、たてと横にならんでいます。それぞれの明かりの、つく・消えるを切りかえて文字を作り、文字の場所を少しずつずらして表示すると、流れて見えます。
- 🎬 映画
- 1秒に24コマの止まった絵を、次々に映す
- 📺 テレビ・ゲームの画面
- 止まった絵を、すばやく入れかえて見せる
- 🚉 流れる文字の案内
- ならんだ明かりは動かない。光る場所を少しずつずらして、文字が流れるように見せる
- 🧸 ねんど・人形のコマ撮り
- 少し動かしては1枚とる。続けて見ると、人形が動いて見える
✏️ やってみよう
- マス目のある紙で、流れる文字のパラパラまんがを作ろう。1ページごとに、文字を1マスずつ左へずらす。
📎 寄り道(コラム)
段の本筋を読まなくても、1本ずつで読める寄り道です。
寄り道1・昔のおもちゃ
鳥とかごの円ばんから、おどろき盤へ(1825〜1834年)
映画が生まれる前から、絵を動かして楽しむおもちゃがありました。ソーマトロープは、1825年に、イギリスの医師ジョン・エアトン・パリスさんたちが考え出したとされます。円ばんのおもてとうらに「鳥」と「鳥かご」のような2つの絵をかき、左右につけたひもで回すと、2つの絵が重なって見えます。1832年には、ベルギーの物理学者ジョゼフ・プラトーさんが、少しずつちがう絵をならべた円ばんを鏡に映し、回しながら細いすき間からのぞくと、絵が動いて見える道具を作りました。のちに日本で、アニメーション作家の古川タクさんが、この道具を「おどろき盤」と名付けました。1834年には、つつの内がわに絵をならべて、何人かでのぞける道具も生まれています。
寄り道2・1枚の写真から
走る馬を写した12コマの写真(1878年)
写真家のエドワード・マイブリッジさん(1830〜1904年)は、実業家のリーランド・スタンフォードさんにたのまれたことをきっかけに、走る馬の撮影に取り組みました。1878年には、走る馬の12コマの連続写真の撮影をやりとげ、大きな評判になりました。動きを止まった写真に分けることと、止まった絵から動きを作ることは、うらおもての関係です。
寄り道3・100年前のフィルム
日本のアニメーションのはじまり(1917年)
日本でアニメーションが生まれたとされるのは、1917年(大正6年)です。国立映画アーカイブによると、いちばん早く公開されたと考えられているのは、1917年1月の『凸坊新畫帖、芋助猪狩の巻』。ただ、このフィルムは見つかっていません。いま見ることのできるいちばん古い作品は、同じ年の6月に公開された、幸内純一さんの『なまくら刀』です。国立映画アーカイブのウェブサイト「日本アニメーション映画クラシックス」では、1917年から1942年までの64本を見ることができます。このサイトの作品には、セルが取り入れられる前の、切り紙によるものが多く見られます。
寄り道4・テレビの時代
毎週のテレビアニメ(1963年)と、1秒に8枚の絵
1963年1月1日、テレビアニメ『鉄腕アトム』の放送が始まりました。手塚治虫さんの公式サイトによると、フジテレビ系で1966年12月31日まで続き、白黒で、全部で193本が作られました。いまも、日本のテレビアニメでは、同じ絵を3コマ続けて使い、1秒に8枚ほどの絵で動かす作り方が多く使われています。絵をかく人(アニメーター)は、動きを表す線やぶれをかいたり、動きのはげしさに合わせて絵の枚数を変えたりしています。
寄り道5・研究はつづく
「残像」だけでは、動きは説明できない
「映画は、残像で動いて見える」という説明を、聞いたことがあるかもしれません。法政大学の吉村浩一さんたちの論文(2014年)は、この説明は心理学では正しくない、と書いています。前の絵が同じ場所に残るだけなら、とぎれとぎれの絵がならんで見えるだけで、なめらかな動きにはならないからです。止まった絵に見える動きは「仮現運動」とよばれ、1912年のヴェルトハイマーさんの研究から、調べられてきました。ただ、映画やアニメの動きが、そのころから調べられてきた現象と同じものかどうかは、はっきりしていませんでした。論文は、映画やアニメの動きは、となりの絵とのちがいがごく小さいときに起こる、べつの種類の仮現運動だと考えています。毎日見ているアニメの仕組みも、いまも調べられているのです。
入口はノートのはしのパラパラまんが。出口は、映画にも、駅の流れる文字にも、ねんどのコマ撮りにもつながります。いつものアニメを見ながら「これ、全部止まった絵なんだよね」と子どもが言う瞬間が、このタネのゴールです。
- 📘 コマ
- 映画やアニメで、止まった絵の1つ分。映画やアニメは、1秒を24コマに分けて作る。同じ絵を何コマか続けて使うこともある。
- 📘 仮現運動
- かげんうんどう。実際には動いていないのに、動いているように見えること。少しずつちがう止まった絵を続けて見ると、動いて見える。心理学の言葉。
- 📘 原画
- アニメ作りで、動きのかなめになる絵。原画と原画のあいだをうめる絵は「動画」とよぶ(スマホなどで見る、ふだんの「動画」とはちがう意味)。
✏️ やってみよう
(1) 映画やアニメは、1秒を24コマに分けて作る。同じ絵を3コマずつ続けて使うと、1秒にいる絵は何枚?
こたえを見る
24÷3=8 なので、8枚。
(2) 5ページのパラパラまんがで、ボールを上から下へ、同じ速さで落とす。3ページ目のボールは、どのあたりにかく?
こたえを見る
上と下のまん中あたり。1ページ目を上、5ページ目を下に先にかいてから、あいだをうめると、かきやすい。
🔗 ほかにも
テレビや録画の機械に「一時停止」や「コマ送り」のボタンがあれば、アニメを止めて、1コマずつ送ってみよう。動いていたキャラクターが、1枚の止まった絵になる。同じ絵が、何コマか続くこともある(見る時間は家の人と決める)。