📱 スマホの画面は何色でできている?白い画面は赤・緑・青の3色だった
毎日見ているスマホの画面から、「なんで?」「なにでできてる?」「なにになる?」の3段で深める「つながるタネ」です。どの話にも、子どもが詰まったときのヒントと3択があります。途中で終わっても、その話だけで1つの会話になります。5〜6歳なら、入口 → 1話目 → 5話目の順がおすすめです。
🗺️ このタネの地図
入口(身の回り)
- スマホの画面
- テレビ・パソコン
- 街の大きな画面
- 信号機
- 冬の手ぶくろ
1段目・なんで?(性質)
- 光 — 赤・緑・青を重ねると、ほとんどの色になる
- 目 — 色を感じる細胞は3種類
2段目・なにでできてる?(素材)
- 透明なのに電気を通す膜(タッチパネル)
- 液晶と有機EL
3段目・なにになる?(行き先)
- 📺 テレビ・パソコン
- 🏟️ スタジアム・街の大画面
- 🚉 駅の案内の画面
📎 寄り道(コラム)— 段には入れず、横に置いた話
- 画面のうしろの明かりは、青い LED から(2014)
- 2回とける、ふしぎな物質(液晶の発見・1888)
- スマホのガラスは、イオンを入れ替えて強くする
- 大きさだけで色が変わる結晶(量子ドット・2023)
- さわる画面と、光る膜のはじまり(1965・1987)
出発点はどこでもかまいません。話は「光は3色を重ねて作る」と「目は3種類の細胞で色を見ている」に集まり(1段目)、画面を作る材料(2段目)をとおって、テレビや街の大きな画面に広がります(3段目)。ノーベル賞などの話は段には入れず、寄り道として横に置いています。
入口「スマホの画面」から話す
① といかけ
「スマホの画面を真っ白にしたよ。この白い画面の中で光っているのは、どんな色の点だと思う?」
💭 答えに詰まったら
「画面は、白のほかにも、いろんな色を出せるよね。白を出すときだけ、白い点を使っていると思う?」
それでも出てこないときは、3択にしてみましょう。
- 白い点だけ
- 赤・緑・青の点
- にじの7色の点
当たっても外れても、「なんでそう思ったの?」と理由を聞いてから②へ進むと会話が続きます。
② かんさつ
スマホを机に置いて、白い画面(メモの新しいページなど)を出し、明るくする。まん中に、水を小さく1滴のせる(のせるのは大人。充電の穴やスピーカーには近づけない。ひびのある画面ではしない)。しずくを真上からのぞくと、色のついた小さな点がならんで見える。見えたら、やわらかい布ですぐにふき取ろう。見えにくいときは、しずくを小さくしてやり直すか、虫めがねでテレビの画面をのぞく。
③ たねあかし
画面は、赤・緑・青の3色の、とても小さな点がならんでできているんだ。3色の明るさを変えて重ねると、ほとんどの色を作れる。3色ともいっぱいに光ると、白に見える。スマホの画面に、白い点は、ふつう入っていないんだよ。
✅ ここで終わってもOK(今日のひとこと)スマホの白い画面は、赤・緑・青の3色の点が一緒に光って、白に見えている。白い点は、ふつう入っていない。
🌀 もう一歩
「じゃあ、黄色い画面のときは、赤・緑・青のどれが光ってると思う?」
ここで終わらせず、もう一往復すると会話になります。
💬 こう聞かれたら
「黒はどうやって出すの?」→「3色とも、光を出さないようにするんだ。光が来ないところが、黒に見えるんだよ」 「テレビも同じ?」→「ほとんど同じだよ。テレビもパソコンも、赤・緑・青の点が基本。テレビの中には、白い点を足したものもあるから、虫めがねで確かめてみよう」 「色はいくつ出せるの?」→「画面に出せる色は、とてもたくさんある。でも光っている点は3色だけ。3色の明るさの組み合わせを変えて、たくさんの色に見せているんだ」
⚠️ 安全メモ
水をのせるのは大人。画面のまん中に、小さく1滴だけ。充電の穴やスピーカーなどの穴には近づけない。画面にひびがある、保護フィルムがはがれかけているスマホには、水をのせない。終わったら、やわらかい布ですぐにふき取り、ぬれたまま充電しない(水が入ると、こわれたり熱くなったりすることがある)。水のしずくで画面が勝手に動くことがある。虫めがねで太陽や強い明かりを見ない。使ったあと、日の当たる所に置かない。明るい画面は少しまぶしいので、長く見つめない。
🚪 ほかの入口から話す
その日の場面に合うものを1つ選んで、といかけから始めます。◯が正解ですが、外れても止めずに「おしい、じゃあ確かめてみよう」と続けます。
テレビ→ 光の3色(1段目)
「テレビの画面を虫めがねでのぞいたら、何が見えると思う?」
- 小さな絵
- 色のついた小さな点
- 何も見えない
テレビはスマホより点が大きいので、虫めがねでも見えやすい。赤・緑・青の点が基本で、有機EL のテレビには白い点を足したものもある。明るい画面は少しまぶしいので、長く見つめない。
街やスタジアムの大きな画面→ 行き先(3段目)
「あの大きな画面、近くで見るとつぶつぶでできてるよ。何色のつぶがあると思う?」
- 赤・緑・青
- 白だけ
- にじの7色
大きな映像の画面は、赤・緑・青の LED をならべて作る。見るときは、人や車のじゃまにならない安全な場所で。
信号機→ 寄り道(青い LED)
「信号機の中で光っているのは、電球だと思う? 別のものだと思う?」
- ぜんぶ電球
- LED という小さな明かりが多い
- ろうそく
日本の信号機は、LED を使ったものが約83%(2026年3月末・警察庁)。電球を使ったものも残っている。信号機は画面ではないので、色を重ねて作ってはいない。
冬の手ぶくろ→ タッチパネル(2段目)
「手ぶくろをしたままスマホをさわると、どうなると思う?」
- ふつうに動く
- 動きにくい
- こわれる
スマホは、指が近づいたときの電気の変化を読み取っている。手ぶくろのままで使える機種や設定、スマホ用の手ぶくろもある。
🔎 もっと知りたい人へ
このタネは、スマホの画面から3つの段で深めます。「光は3色を重ねて作る」「目は3種類の細胞で色を見ている」(1段目・性質)から、タッチパネルや液晶・有機EL(2段目・素材)をへて、テレビや街の大きな画面へ広がります(3段目・行き先)。ノーベル賞などの話は、段とは別の「寄り道」にまとめました。どの段で止まってもかまいません。
🟢 光は重ねるほど明るい。目は3種類の細胞で色を見ている1段目・なんで?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|黄色い画面で光っているのは、どの色?5さい〜
「じゃあ、黄色い画面のときは、赤・緑・青のどれが光ってると思う?」
💭 答えに詰まったら
「画面をのぞいても、黄色の点は見つからないんだ。3色のうち、どれとどれを一緒に光らせると、黄色になると思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- 赤と緑
- 赤と青
- 緑と青
黄色いもの(バナナやひまわりの写真)を画面に出して、黄色いところに水を小さく1滴のせる(のせるのは大人。穴には近づけない)。赤と緑の点が光って、青は暗くなっている。見えにくいときは、しずくを小さくしてのせ直そう。終わったらすぐふき取る。
たねあかし光は、重ねるほど明るくなるんだ。赤と緑を一緒に光らせると、黄色に見える。3色とも光らせると、白になる。絵の具は混ぜるほど暗くなるけど、光は逆なんだよ。
🌀 もう一歩
「じゃあ、赤と青を一緒に光らせたら、何色に見えると思う?」
明るい赤むらさきに見える。緑と青なら、明るい青緑。画面に赤むらさきや水色のものを出して、確かめてみよう。
✅ ここで終わってもOK光は、重ねるほど明るくなる。赤と緑で黄色、3色全部で白。
🗣️ 話すなら|「黄色」は、どこで生まれている?小学生〜
「画面をいくらのぞいても、黄色の点はなかったよね。じゃあ「黄色」は、どこで生まれていると思う?」
💭 答えに詰まったら
「点がとても小さいと、赤の光と緑の光は、一緒になって届くんだ。それを受け取っているのは、体のどこだろう?」
それでも出てこないときは3択に。
- 画面の中
- 空気の中
- 見ている人の目と脳
さっきの黄色い画面を、もう一度のぞいてみよう。しずくごしだと、赤と緑の点。しずくのないところは、黄色。点が小さくて見分けられないと、2つの光が一緒に目に届く。
たねあかし目の奥には、色を感じる細胞が3種類あるんだ。赤っぽい光、緑の光、青の光に、それぞれよく気がつく。赤と緑の光が一緒に届くと、3種類の細胞のようすが、黄色の光が届いたときと同じになる。だから脳は「黄色だ」と感じるんだよ。画面が3色でたりるのは、人の目がこの仕組みだからなんだ。
✅ ここで終わってもOK色は、目と脳が感じて決めている。だから画面は、3色でたりる。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
光の三原色赤・緑・青の3色の光を、光の三原色といいます。光は、重ねるほど明るくなります。赤+緑=黄色、赤+青=明るい赤むらさき(マゼンタ)、緑+青=明るい青緑(シアン)、3色全部=白。どの色も光っていないところが黒です。絵の具は逆で、光を吸い取るので、混ぜるほど暗くなります。
目の中の3種類の細胞目の奥(網膜)には、色を感じる細胞が3種類あります。波長の長い光(赤っぽい側)・中くらいの光(緑)・短い光(青)に、それぞれ反応しやすい細胞です。赤と緑の光が一緒に来ると、3種類の細胞の反応のしかたが、黄色の光が来たときと同じになります。だから脳は「黄色」と感じます。
点が見えないのは、小さいから赤・緑・青の点は、ひと組で1つの「画素」になります。スマホには、1インチ(約2.5cm)に画素が400個以上ならぶものがあります。画素1つの幅は約0.06mm。テレビは画素が大きいので、虫めがねでも見えやすくなります。
✏️ やってみよう
- 白・赤・黄色・黒の画面を順番に出して、光っている点がどう変わるか見くらべよう(水をのせるのは大人。小さく1滴だけ。穴には近づけない)。
- 計算: 1インチ(25.4mm)に画素が400個ならぶ画面。画素1つの幅は何mm?(25.4÷400=約0.06mm)
→ 次の段へ: 「画面は、何でできているの? さわると動くのは、なぜ?」
🟡 透明なのに電気を通す膜と、2種類の光る画面2段目・なにでできてる?(小学生〜)
🗣️ 話すなら|手ぶくろだと、なんで動きにくい?小学生〜
「スマホは指でさわると動くよね。じゃあ、手ぶくろをした指や、えんぴつのおしりでさわったら、動くと思う?」
💭 答えに詰まったら
「スマホは、押された強さを感じているんじゃないんだ。指にあって、手ぶくろやえんぴつにないものを感じているよ」
それでも出てこないときは3択に。「じゃあクイズ。指でさわったときだけ動くのは、なんでだと思う?」
- 指はあたたかいから
- 指は電気を少し通すから
- 指はやわらかいから
手ぶくろをした指、えんぴつのおしり、はだかの指の順で、画面をそっとさわってみよう。どれで動くかな。強く押したり、とがった物でつついたりしない。
たねあかし画面のガラスの内側には、透明なのに電気を通す、うすい膜がならんでいる。指が近づくと、その場所の電気のようすが変わるから、スマホは「ここをさわった」と分かるんだ。人の体は電気を少し通すけど、ふつうの手ぶくろや、木やプラスチックは通しにくい。だから動きにくいんだよ。
✅ ここで終わってもOKスマホは、押す力ではなく、指が近づいたときの電気の変化を感じている。
🗣️ 話すなら|黒い画面のとき、明かりはついている?小学校高学年〜
「画面が真っ黒を出しているとき、画面の明かりはついてると思う? 消えてると思う?」
💭 答えに詰まったら
「夜、部屋を暗くして、真っ黒な画面を見たことある? 画面の形が、うっすら分かるときがあるんだ。なんでだろう?」
それでも出てこないときは3択に。
- どの画面も、消えている
- どの画面も、ついている
- ついている画面と、消えている画面がある
夜、足元を片づけてから部屋を暗くして、画面の明るさを上げ、真っ黒な画像を画面いっぱいに出してみよう。黒いところが、うっすら明るく見える画面と、真っ暗な画面がある。見分けにくいときは、説明書や箱の「液晶」「有機EL」の字で答え合わせ。
たねあかし「液晶」の画面は、点のうしろに白い明かりがあって、色つきのフィルターで赤・緑・青に分けている。黒のときも、ふつう明かりはついたままで、光が少しもれる。「有機EL(ゆうきイーエル)」の画面は、点そのものが光る。黒のところは点を消すから、真っ暗になるんだよ。
✅ ここで終わってもOK黒い画面でも、液晶は明かりがついたまま。有機EL は点を消して黒を出す。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
さわった場所が分かる仕組みスマホの多くは「静電容量方式」のタッチパネルです。カバーガラスの内側に透明な電極がならんでいて、指が近づいたときの電気のたまり方(静電容量)の変化を読み取ります。ふつうの手ぶくろは電気を通さず、指と画面の間も遠くなるので、反応しにくくなります(手ぶくろのままで使える機種や設定もあります)。水のしずくで勝手に反応することがあるのも、同じ仕組みのためです。
透明なのに電気を通す膜電極の代表的な材料は ITO(酸化インジウムスズ)です。ガラスのように光を通すのに、電気も通します。インジウムは量が少なく値段の高い金属なので、ほかの材料も使われています。
液晶と有機EL液晶の画面は、バックライト(うしろの白い明かり)・液晶パネル・赤緑青のカラーフィルターを重ねたものです。入口で見た赤・緑・青の点は、白い明かりをフィルターで分けた色です。光を完全には止められないので、暗い部屋では黒がうっすら明るく見えることがあります(暗い部分の明かりを細かく弱める機種もあります)。有機EL の画面は、点そのものが光り、黒は点を消して出します。有機EL のスマホには、緑の点が赤や青の2倍ある並べ方もあります。人の目が緑に敏感だからです。有機EL のテレビやモニターには、赤・緑・青に白い点を足して、4つでひと組にした並べ方もあります。
✏️ やってみよう
- 家の中の画面(スマホ・テレビ・パソコン)を、暗い部屋の真っ黒な画面でくらべて、液晶か有機ELか予想してみよう。説明書や箱で答え合わせ。
→ 次の段へ: 「赤・緑・青の点の画面は、スマホのほかに、どこで使われている?」
🟣 手の中の画面から、街の大きな画面へ3段目・なにになる?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|3色の点は、街のどこにある?5さい〜
「赤・緑・青の点でできた画面は、スマホのほかに、どこにあると思う?」
💭 答えに詰まったら
「ゲーム機やタブレット、家のテレビ。野球やサッカーの会場にある、すごく大きいもの…」
それでも出てこないときは3択に。「じゃあクイズ。この中で、自分では光っていないのは、どれだと思う?」
- テレビ
- スタジアムの大きな画面
- 紙の絵本
街やスタジアムで大きな映像の画面を見かけたら、安全な場所で立ち止まって、よく見てみよう。近くからだと、つぶつぶが見える。遠くからだと、1枚の絵に見える。
たねあかしテレビも、パソコンも、スタジアムや街の大きな画面も、赤・緑・青の点が基本なんだ。大きな画面は、赤・緑・青の LED という小さな明かりを、数ミリおきにならべてある。紙の絵本は、自分では光らない。まわりの光をはね返して見えているんだよ。
🌀 もう一歩
「同じ画面でも、近くで見るとつぶつぶ、遠くで見るとなめらか。なんでだろう?」
点と点のすき間が、遠くからだと小さすぎて見分けられなくなるから。スマホの点が見えないのも、点がとても小さいからだよ。
✅ ここで終わってもOK3色の点の画面は、手の中にも、家の中にも、街の中にもある。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
🏟️ 大きな画面スタジアムや街の大きな映像の画面は、赤・緑・青の3色の LED を1組にして、たくさんならべて作ります。LED の間隔は、室内のアリーナで約4mm、スタジアムで約8mmのものがあります。駅の案内や広告の画面には、液晶のものも多くあります。
- 📺 テレビ・パソコン
- 赤・緑・青の点が基本。有機EL のテレビには、白い点を足したものもある。テレビは点が大きいので、虫めがねでも見えやすい
- 🏟️ スタジアム・街の大画面
- 赤・緑・青の LED をならべた画面。近づくとつぶつぶが見える
- 🚉 駅の案内・広告の画面
- 液晶のものも、LED のものもある
- 🚦 信号機(画面ではない)
- 同じ LED の明かりが使われている。LED を使ったものが約83%(2026年3月末・警察庁)。電球を使ったものも残っている
✏️ やってみよう
- 計算: 横1920個・たて1080個の画素がならぶ画面(フルHD)。画素は全部でいくつ?
📎 寄り道(コラム)
段の本筋を読まなくても、1本ずつで読める寄り道です。国や時代を問わず、発見が身の回りの物につながった話を集めました。
寄り道1・ノーベル賞は意外と身近
画面のうしろの白い明かりは、青い LED から(2014年 物理学賞)
赤や緑の LED は前からありました。でも青だけは、世界中の研究者や会社がいどんでも、30年ものあいだ、明るく光るものが作れませんでした。名古屋大学の赤﨑勇さんと天野浩さんは、1986年に質のよい結晶を作ることに成功し、1992年に明るい青の LED を発表しました。徳島県の会社・日亜化学工業にいた中村修二さんは、1988年に研究を始め、別のやり方で同じころに成功しました。3人は2014年にノーベル物理学賞を受けました。白く光る LED の多くは、じつは青い LED です。青い光の一部を「蛍光体」に当てて黄色っぽい光に変え、残った青と混ぜて白に見せています。液晶のスマホやテレビは、この白い LED の光をうしろから当てています。青に続いて緑もそろい、赤・緑・青の3色が LED で出せるようになって、LED の大きなフルカラーの画面が作れるようになりました。日本で LED の信号機が初めて置かれたのは1994年(愛知県と徳島県)です。
寄り道2・発見の瞬間の意外さ
2回とける、ふしぎな物質(液晶の発見・1888年)
1888年、プラハの大学にいた植物学者フリードリヒ・ライニッツァーさんは、ふしぎな物質に出会いました。ニンジンからとり出した成分をもとに作った物質で、熱すると約145度でとけて白くにごった液体になり、さらに熱すると約179度ですきとおった液体になります。まるで2回とけるようでした。ライニッツァーさんは、物理学者のオットー・レーマンさんに手紙と試料を送って相談しました。レーマンさんは顕微鏡でくわしく調べ、1889年に「流れる結晶」という題で発表しました。液体のように流れるのに、結晶のような性質もある。これが「液晶」という名前のはじまりです。1973年には、シャープが液晶の表示をつけたポケットサイズの電卓を発売しました。
寄り道3・毎日さわっているもの
スマホのガラスは、イオンを入れ替えて強くする
スマホの画面を守るガラスには、「化学強化ガラス」がよく使われます。約400度でとかした塩(カリウムをふくむ)の中にガラスをつけると、ガラスの表面から小さなナトリウムのイオンが出ていき、かわりに大きなカリウムのイオンが入りこみます。冷えると、大きなイオン同士が押し合って、表面に「ぎゅっと押し縮められた層」ができます。この層が、ふだんの傷や割れに強くするのです。コーニング社は、1960年にガラスを化学の力で強くする実験を始め、1961年に強いガラスを作りました。食器や眼鏡のレンズ、自動車や飛行機などに使われました。2006年に電子機器の画面を守る新しいガラスの開発を始めたとき、研究者たちはこの経験を土台にしました。できあがった「ゴリラガラス」は、昔のガラスとは成分を変えた別のガラスです。アップル社によると、コーニング社との協力は最初の iPhone(2007年)から続いています。
寄り道4・ノーベル賞は意外と身近
大きさだけで、色が変わる結晶(量子ドット・2023年 化学賞)
「量子ドット」は、とても小さな結晶です。同じ材料でも、結晶の大きさを変えるだけで、光る色が変わります。1980年代の初め、アレクセイ・エキモフさんが色ガラスの中の小さな結晶で、その数年後、ルイス・ブルースさんが液体の中にうかぶ結晶で、この性質を確かめました。1993年には、ムンジ・バウェンディさんが、質のよい結晶の作り方を大きく進めました。3人は2023年にノーベル化学賞を受けました。いまは、量子ドットを使った方式(QLED)のテレビやパソコンの画面で、色を出すのに使われています。
寄り道5・はじまりの話
さわる画面と、光る膜のはじまり(1965年・1987年)
指がふれたときの電気の変化で、さわった場所を知る。この仕組みは、1965年に E・A・ジョンソンさんが発表しました。いまのスマホと同じ考え方です。いまの有機EL の画面につながる、低い電圧で明るく光る素子は、1987年に、コダック社にいたチン・W・タンさんとスティーブン・ヴァンスライクさんが論文で発表しました。
入口はスマホの画面ひとつ。真ん中は「光は3色を重ねて作る」と「目は3種類の細胞で色を見ている」の2つ。出口は、テレビにも、スタジアムにもつながります。毎日見ている画面が、光と目の仕組みでできていると分かる瞬間が、このタネのゴールです。
- 📘 光の三原色
- 赤・緑・青の3色の光のこと。明るさを変えて重ねると、ほとんどの色を作れる。3色とも明るく光ると、白に見える。
- 📘 画素
- 画面や写真を作っている、小さな色のマスのこと。ピクセルともいう。画面では、赤・緑・青の点がひと組で1つの画素になる。たくさん集まって、1枚の絵になる。
✏️ やってみよう
(1) 横1920個・たて1080個の画素がならぶ画面。画素は全部でいくつ? 1つの画素に赤・緑・青の点が1つずつ入っているなら、点はいくつ?
こたえを見る
1920×1080=2,073,600(約207万)。赤・緑・青が1つずつなら、その3倍で6,220,800(約622万)。ただし点の並べ方は画面によってちがい、緑が多い並べ方や、白を足した並べ方もある。
(2) 白・赤・黄色・黒の画面を順番に出して、光っている点を見くらべよう(水をのせるのは大人。小さく1滴だけ。穴には近づけない)。黄色のとき、光っているのは何色と何色?
こたえを見る
黄色のときは、赤と緑が光って、青は暗い。白は3色とも光り、黒は3色とも光らない。光は、重ねるほど明るくなる。
🔗 ほかにも
テレビやパソコンの画面も、赤・緑・青の点が基本。スタジアムや街の大きな映像の画面は点が大きいので、近づくと赤・緑・青の点が見える。