🚃 電車はハンドルなしでなぜ曲がれる?ななめの車輪のひみつ
紙コップ1つから、「なんで?」「なにでできてる?」「なにになる?」の3段で、電車・新幹線・リニアまで深める「つながるタネ」です。どの話にも、子どもが詰まったときのヒントと3択があります。途中で終わっても、その話だけで1つの会話になります。5〜6歳なら、入口 → 1話目 → 5話目の順がおすすめです。
🗺️ このタネの地図
入口(身の回り)
- 紙コップ
- 電車の運転席
- 運動会のトラック
- 駅のホーム
- 踏切の貨物列車
- 雨の日・落ち葉
- カーブで体がかたむく
1段目・なんで?(性質)
- 形 — まん中が太い形は、ずれても自分でまん中に戻る
- カーブ — 外がわのレールのほうが長い
2段目・なにでできてる?(素材)
- 鉄の車輪と鉄のレール
- モーター(ブレーキで電気を作る)
3段目・なにになる?(行き先)
- 🚄 新幹線
- 🚃 貨物列車
- ⛰️ 登山電車
- 🧲 超電導リニア
📎 寄り道(コラム)— 段には入れず、横に置いた話
- カワセミのくちばしと、新幹線の先頭
- 雨と落ち葉の日の、すべり止め
- マイナス269度でつながる、1911年の発見とリニア
- なぜ、電車で運ぶのか(CO2)
- 日本で最初の鉄道(1872)
出発点はどこでもかまいません。話は「ななめの車輪は自分でまん中に戻る」と「カーブでは外がわが長い」に集まり(1段目)、鉄の車輪とレール(2段目)をとおって、新幹線や登山電車、リニアに広がります(3段目)。ノーベル賞などの話は段には入れず、寄り道として横に置いています。
入口「紙コップ」から話す
① といかけ
「車はカーブで、丸いハンドルを回すよね。じゃあ電車の運転士さんは、カーブで何をしてると思う?」
💭 答えに詰まったら
「電車は、レールの上しか走れないよね。レールがカーブしていたら、電車はどっちへ進むと思う?」
それでも出てこないときは、3択にしてみましょう。
- 丸いハンドルを回している
- 向きを変えることは、何もしていない
- 体をかたむけて曲げている
当たっても外れても、「なんでそう思ったの?」と理由を聞いてから②へ進むと会話が続きます。
② かんさつ
紙コップを1つ、横にたおして、平らな床でそっと転がしてみよう。まっすぐ進まず、底(細いほう)を内がわにして、円をえがくように曲がっていく。電車に乗ったら、手すりにつかまって、いちばん前の窓から運転席を見てみよう。丸いハンドルはなくて、レバーがあるだけ。
③ たねあかし
電車には、向きを変えるためのハンドルがないんだ。運転士さんのレバーは、速さを変えたり、ブレーキをかけたりするためのもの。向きは、レールと車輪が決めている。電車の車輪は、紙コップみたいに少しだけななめになっていて、それが曲がるひみつなんだよ。
✅ ここで終わってもOK(今日のひとこと)電車に、向きを変えるハンドルはない。向きを決めるのは、レールと、ななめの車輪。
🌀 もう一歩
「じゃあ、紙コップを2つくっつけて、2本のレールの上を転がしたら、落ちると思う? 落ちないと思う?」
ここで終わらせず、もう一往復すると会話になります。
💬 こう聞かれたら
「運転士さん、レバーをにぎってたよ。あれはハンドルじゃないの?」→「あのレバーも『ハンドル』とよぶんだ。でも車のハンドルとちがって、速さを変えたり、ブレーキをかけたりするためのもの。向きは変えられないんだよ」 「車輪がレールから外れたりしないの?」→「車輪の内がわには『つば』(フランジ)がついていて、レールから外れないように守っているんだ。急なカーブでは、このつばもレールに当たって、電車を案内するよ」 「カーブでキーキー音がするのは、なんで?」→「車輪とレールがこすれて出る音だよ」 「どの電車も同じ仕組みなの?」→「ふつうの電車は同じ。ゴムのタイヤで走る電車は、案内用のレールに小さな車輪をそわせて、向きを決めているよ」
⚠️ 安全メモ
駅のホームでは、黄色い線よりホームのまん中がわで見る。走らない。線路をのぞきこまない。物を落としたら、自分で取らずに駅員さんに知らせる。黄色い点字ブロックは、目の不自由な人の道しるべなので、その上に立ち止まらない。踏切は、警報機が鳴ったら入らない。線路には入らない。走っている電車の中では、手すりやつり革につかまる。
🚪 ほかの入口から話す
その日の場面に合うものを1つ選んで、といかけから始めます。◯が正解ですが、外れても止めずに「おしい、じゃあ確かめてみよう」と続けます。
運動会・トラック→ カーブと車輪(1段目)
「カーブを走る競走で、外がわのレーンの人が前からスタートするのは、なんでだと思う?」
- 外がわのほうが、1周が長いから
- 外がわの人のほうが、足が速いから
- くじ引きで決めたから
みんなが同じ長さを走れるように、外がわのレーンほどスタートの位置を前に出してある。電車のレールも、カーブでは外がわのほうが長い。
駅のホーム→ 車輪の形(1段目)
「電車の車輪の内がわについている『つば』は、何のためだと思う?」
- かざり
- レールから外れないため
- 音を出すため
つば(フランジ)は、車輪がレールから外れないためのもの。見るときは、黄色い線よりホームのまん中がわで。線路をのぞきこまない。
踏切で貨物列車を見た日→ 鉄の車輪とレール(2段目)
「いちばん長い貨物列車は、トラック何台分の荷物を運べると思う?」
- 5台分
- 20台分
- 65台分
貨物列車26両分は、10トントラック65台分(JR貨物)。踏切は、警報機が鳴ったら入らない。
雨の日・落ち葉の季節→ 寄り道(すべり止め)
「雨の日、鉄の車輪は、すべりやすくなると思う? 変わらないと思う?」
- すべりやすくなる
- 変わらない
- すべりにくくなる
鉄の車輪と鉄のレールは、雨や雪、落ち葉ですべりやすくなる。車輪とレールの間に、砂やセラミックの粒をまいてすべりを止める装置がある。
山へおでかけ→ 行き先(3段目)
「すごく急な坂を登る電車は、どうやって登ると思う?」
- 歯車をレールにかみ合わせて登る
- うしろから人がおす
- 坂の手前であきらめる
大井川鐵道の井川線には、歯のついたレールに歯車をかみ合わせて登る区間がある(アプト式)。日本でただ一つ。
電車がカーブを曲がるとき→ カーブと車輪(1段目)
「電車がカーブを曲がるとき、体はどっちに引っぱられると思う?」
- カーブの外がわ
- カーブの内がわ
- どっちにも引っぱられない
カーブでは、外がわのレールを内がわより少し高くして、外へ押される力をやわらげている(カント)。手すりやつり革につかまって。
🔎 もっと知りたい人へ
このタネは、紙コップから3つの段で深めます。「まん中が太い形は、ずれても自分でまん中に戻る」「カーブでは外がわのレールが長い」(1段目・性質)から、鉄の車輪とレール、ブレーキで電気を作るモーター(2段目・素材)をへて、新幹線・登山電車・リニアへ広がります(3段目・行き先)。ノーベル賞などの話は、段とは別の「寄り道」にまとめました。どの段で止まってもかまいません。
🟢 ななめの車輪は、自分でまん中に戻る。カーブでは外がわが長い1段目・なんで?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|紙コップ2つは、レールから落ちる?5さい〜
「紙コップを2つくっつけて、2本のレールの上を転がすよ。落ちると思う? 落ちないと思う?」
💭 答えに詰まったら
「くっつけ方は2つあるんだ。口と口をくっつけると、まん中が太い形。底と底をくっつけると、まん中が細い形。どっちが落ちにくいと思う?」
それでも出てこないときは3択に。「じゃあクイズ。落ちにくいのは、どっちのくっつけ方だと思う?」
- 口と口(まん中が太い形)
- 底と底(まん中が細い形)
- どっちもすぐ落ちる
用意するのは、紙コップ4つ、テープ、長い定規2本、本を何さつか。紙コップを、2つは口どうし、2つは底どうしで、テープでつなぐ。定規2本を本に立てかけて坂にして、レールにする。上からそっと転がして、くらべてみよう。
たねあかし口と口をつないだほうは、まん中に戻りながら、レールの上を転がっていく。底と底のほうは、すぐ落ちてしまう。まん中が太い形は、右にずれると、右がわが太いところで転がるようになって、自然にまん中へ戻るんだ。電車の車輪も、左右2つが1本の軸でつながっていて、内がわほど太い。だから同じことが起きるんだよ。
✅ ここで終わってもOKまん中が太い形は、ずれても自分でまん中に戻る。電車の車輪も同じ形。
🗣️ 話すなら|カーブでは、外と内、どっちのレールが長い?小学生〜
「線路がカーブしているところでは、外がわのレールと内がわのレール、どっちが長いと思う?」
💭 答えに詰まったら
「運動場のトラックで、カーブを走る競走のとき、外がわのレーンの人は前からスタートするよね。なんでだろう?」
それでも出てこないときは3択に。
- 外がわが長い
- 内がわが長い
- 同じ長さ
紙に、同じはばでならんだカーブを2本かいて、それぞれにひもを当てて、長さをくらべてみよう。外がわのひものほうが長くなる。
たねあかしカーブでは、外がわのレールのほうが長い。でも電車の車輪は、左右が1本の軸でつながっていて、同じ回数しか回れない。そこで、ななめの車輪が役に立つ。カーブで電車が外がわに寄ると、外の車輪は太いところ、内の車輪は細いところでレールに乗る。太いところは1回転で長く進むから、うまく曲がれるんだ。
🌀 もう一歩
「じゃあ、とても急なカーブでは、ななめの車輪だけで曲がりきれると思う?」
急なカーブでは、車輪の内がわのつば(フランジ)もレールに当たって、電車を案内する。キーキーという音は、車輪とレールがこすれて出る音だよ。
✅ ここで終わってもOK外がわは太いところ、内がわは細いところで転がる。だから、長さのちがうレールの上でも曲がれる。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
車輪の形車輪がレールに乗る面は、つば(フランジ)のある内がわほど太い、ゆるい坂になっています。かたむきの目安は、在来線で20分の1(横に20ミリで1ミリ)、新幹線で40分の1。円弧を組み合わせた形のものもあります。
左右の車輪は、1本の軸でつながっているふつうの電車の車輪は、左右2つが1本の軸にしっかり付いていて、いつも同じ回数だけ回ります。まっすぐな線路で左右にずれても、まん中に戻ろうとする働きがあります。
つば(フランジ)の役目つば(フランジ)は、車輪がレールから外れないためのものです。まっすぐな線路では、ふつうレールに強くは当たりません。急なカーブでは、レールに当たって電車を案内します。
カーブの線路は、かたむいているカーブでは、外がわのレールを内がわより少し高くしてあります(カント)。電車が外へ押される力をやわらげるためで、在来線では高くても10センチほどです。
✏️ やってみよう
- 紙コップを1個、横にたおして転がし、えがく円の大きさを見よう。口と底の太さのちがいが大きいコップほど、円はどうなる?
- 電車に乗ったら、カーブで体がどっちに引っぱられるか感じてみよう(手すりやつり革につかまって)。
→ 次の段へ: 「車輪とレールは、何でできているの? なぜその材料なの?」
🟡 鉄の車輪と鉄のレール。ブレーキで電気を作るモーター2段目・なにでできてる?(小学生〜)
🗣️ 話すなら|なんで、車輪もレールも鉄なの?小学生〜
「車のタイヤはゴム。でも電車は、車輪もレールも鉄だよね。鉄どうしだと、ゴムのタイヤより、転がりやすいと思う? 転がりにくいと思う?」
💭 答えに詰まったら
「空気のぬけた自転車のタイヤは、べこっとへこんで、こぐのが重いよね。かたくてへこまない鉄の車輪だったら、どうなると思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- 転がりやすい
- 転がりにくい
- 変わらない
ビー玉を、つくえの上と、タオルの上で、同じように転がしてくらべてみよう。かたい面の上では遠くまで転がり、やわらかくてへこむ面の上では、すぐに止まる。
たねあかし鉄の車輪と鉄のレールは、かたくてほとんどへこまない。だから転がるときのじゃまが小さくて、一度走り出すと、少ない力で進み続けられるんだ。いちばん長い貨物列車なら、10トントラック65台分の荷物を運べるよ。そのかわり、鉄どうしはすべりやすいから、止まるのに長い道のりがいるんだ。
✅ ここで終わってもOK鉄の車輪は、よく転がるから、たくさん運べる。そのかわり、すぐには止まれない。
🗣️ 話すなら|走っている電車から、電気を作れる?小学校高学年〜
「電車は、電気でモーターを回して走るよね。じゃあ反対に、走っている電車から、電気を作れると思う?」
💭 答えに詰まったら
「自転車には、タイヤが回るとライトがつくものがあるよね。あれは、回る力を何に変えていると思う?」
それでも出てこないときは3択に。
- 作れる
- 作れない
- 晴れた日だけ作れる
電車はブレーキをかけるとき、モーターを発電機として使うんだ。車輪の回る力で電気を作ると、そのぶん電車はおそくなる。できた電気は、上の電線(架線)に戻って、近くを走るほかの電車が使う。これを回生ブレーキというよ。
✅ ここで終わってもOK電車のブレーキは、止まる力で電気を作って、ほかの電車に分けている。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
鉄の車輪と鉄のレール鉄の車輪と鉄のレールは、かたくてほとんどへこみません。転がるときの抵抗が小さいので、一度走り出すと、少ない力で進み続けられます。そのかわり、車輪とレールの間にはたらく摩擦の力も、ゴムのタイヤより小さくなります。
止まるまでの道のり在来線の列車は、非常ブレーキをかけてから600メートル以内で止まれることが、標準とされています。電車は、すぐには止まれません。踏切や線路に入ってはいけないのは、このためでもあります。
ブレーキで電気を作る(回生ブレーキ)電車はブレーキをかけるとき、モーターを発電機として使います。できた電気は架線に戻り、近くを走るほかの電車が使います。近くに電気を使う電車がいるときに、よくはたらきます。
✏️ やってみよう
- 計算: 貨物列車26両で、10トントラック65台分の荷物を運べる。貨車1両は、トラック何台分?
→ 次の段へ: 「鉄の車輪とレールで、どんな電車ができた? 車輪を使わない電車は?」
🟣 新幹線・貨物列車・登山電車、そして車輪のないリニアへ3段目・なにになる?(5さい〜)
🗣️ 話すなら|鉄の車輪は、速いのと坂道と、どっちがとくい?5さい〜
「鉄の車輪とレールの電車は、速く走るのと、急な坂を登るのと、どっちがとくいだと思う?」
💭 答えに詰まったら
「鉄の車輪は、よく転がる。でも、すべりやすいんだ。坂道ですべりやすいと、どうなるかな?」
それでも出てこないときは3択に。
- 速く走るのがとくい
- 急な坂を登るのがとくい
- どっちもにがて
とくいなのは、速く走るほう。よく転がるから、新幹線みたいに速く走れる。にがてなのは、急な坂。すべって登れなくなるからね。箱根の登山電車は、車輪とレールだけで、とびきり急な坂を登る。もっと急な坂では、歯車をレールにかみ合わせて登る電車もあるんだ。
🌀 もう一歩
「じゃあ、車輪を使わない電車は、どうやって走ると思う?」
超電導リニアは、強い磁石の力で、約10センチうかんで走る。走りはじめはゴムのタイヤで走って、時速150キロくらいからうかぶんだ。計画では、最高で時速500キロだよ。
✅ ここで終わってもOK鉄の車輪は、速く走るのがとくいで、急な坂がにがて。
↓ ここから下は、親が読むくわしい説明です。
速さと坂道鉄の車輪とレールは、よく転がるので速く走るのに向いています。いっぽう、すべりやすいので急な坂はにがてです。坂の急さは「パーミル」で表します。80パーミルは、1000メートル進む間に80メートル登る坂です。
- 🚄 新幹線
- 車輪のかたむきは、在来線よりゆるい40分の1。速く走ってもゆれにくくするため
- 🚃 貨物列車
- 26両で、10トントラック65台分の荷物を運ぶ
- ⛰️ 箱根の登山電車
- 80パーミルの坂を登る。車輪とレールの摩擦だけで登る鉄道では、日本でいちばん急
- ⚙️ 大井川鐵道 井川線
- 90パーミルの坂を、歯のついたレールに歯車をかみ合わせて登る(アプト式)。日本でただ一つ
- 🚝 ゆりかもめ・札幌の地下鉄
- ゴムのタイヤで走り、案内用のレールに小さな車輪をそわせて向きを決める
- 🚇 東京メトロ 銀座線など
- カーブに合わせて、車輪の軸の向きが自動で変わる台車を使う
- 🧲 超電導リニア
- 時速150キロくらいまではゴムのタイヤで走り、そのあと約10センチうかんで走る。計画では最高時速500キロ
✏️ やってみよう
- 計算: 80パーミルは、1000メートル進む間に80メートル登る坂。100メートル進むと、何メートル登る?
📎 寄り道(コラム)
段の本筋を読まなくても、1本ずつで読める寄り道です。国や時代を問わず、発見や工夫が身の回りの電車につながった話を集めました。
寄り道1・生き物がお手本
カワセミのくちばしと、新幹線の先頭
500系新幹線の先頭は、長さ15メートルのとがった形をしています。新幹線がトンネルに勢いよく入ると、出口で「ドン」という大きな音が出ることがあります。この音を小さくするために、先頭の形を変える試験と計算をくり返したところ、たどりついた形は、水しぶきをほとんど上げずに水へ飛びこむカワセミの、くちばしから頭にかけての形によく似ていました。開発にたずさわった仲津英治さんが、そう語っています。屋根の上で電気を取り入れる装置(パンタグラフ)の風の音は、静かに飛ぶフクロウの羽のギザギザを手がかりに、あとに続いた技術者たちが小さくしました。
寄り道2・雨の日のひみつ
雨と落ち葉の日の、すべり止め
鉄の車輪と鉄のレールは、雨や雪、落ち葉で、すべりやすくなります。車輪が空回りしたり、ブレーキのときにすべったりするのです。そこで、車輪とレールの間に砂をまいて、すべりを止めてきました。鉄道総合技術研究所が開発した装置「セラジェット」は、0.3ミリのセラミックなどの粒を、秒速100メートルの速さで車輪とレールの間にふきつけます。まく量は、砂をまく装置の50分の1ですみます。新幹線では、500系からあとのすべての形式で使われています。
寄り道3・ノーベル賞は意外と身近
マイナス269度でつながる、1911年の発見とリニア
1911年、ライデン大学(オランダ)のヘイケ・カメルリング・オネスさんの研究室で、水銀をマイナス269度近くまで冷やすと、電気の流れにくさ(電気抵抗)がなくなることが見つかりました。超電導という現象です。オネスさんは1913年、低い温度での物質の研究と、液体ヘリウムを作ったことで、ノーベル物理学賞を受けました。1986年には、スイスにある IBM の研究所で、ベドノルツさんとミュラーさんが、それまでより高い温度(マイナス238度)で超電導になるセラミックスを見つけ、翌年にノーベル物理学賞を受けました。超電導リニアの磁石は、ニオブチタン合金を液体ヘリウムでマイナス269度まで冷やして使います。電気抵抗がゼロになるので、電流が流れ続ける強い磁石になります。2015年4月21日、山梨リニア実験線で時速603キロを記録し、「最も速い磁気浮上式鉄道」としてギネス世界記録に認定されました。
寄り道4・なぜ?の寄り道
なぜ、電車で運ぶのか(CO2)
1人を1キロメートル運ぶときに出る CO2 は、鉄道が17グラム、自家用車が125グラム。鉄道は、自家用車のおよそ7分の1です(2024年度・国土交通省)。荷物1トンを1キロメートル運ぶときは、鉄道が19グラム、営業用のトラックが195グラムで、およそ10分の1です。鉄道は、一度にたくさんの人や物を運べる乗り物です。
寄り道5・はじまりの話
日本で最初の鉄道(1872年)
日本で最初の鉄道は、1872年(明治5年)に、新橋と横浜の間の29キロメートルで開業しました。かかった時間は53分。このときの横浜駅は、いまの桜木町駅のあたりにありました。
入口は紙コップ1つ。真ん中は「ななめの車輪は自分でまん中に戻る」と「カーブでは外がわが長い」の2つ。出口は、新幹線にも、登山電車にも、リニアにもつながります。ハンドルのない電車が曲がる理由が、紙コップの形にあったと分かる瞬間が、このタネのゴールです。
- 📘 フランジ
- 電車の車輪の内がわについている、つばのような出っぱり。車輪がレールから外れないように守る。急なカーブでは、レールに当たって電車を案内する。
- 📘 回生ブレーキ
- ブレーキをかけるとき、モーターを発電機として使う仕組み。できた電気は架線に戻り、近くを走るほかの電車が使う。
✏️ やってみよう
(1) 貨物列車26両で、10トントラック65台分の荷物を運べる。貨車1両は、トラック何台分?
こたえを見る
65÷26=2.5 なので、貨車1両で、トラック2台半分。
(2) 紙コップを1個、横にたおして転がし、えがく円の大きさを見よう。口と底の太さのちがいが大きいコップと小さいコップでは、どっちが小さな円をえがく?
こたえを見る
太さのちがいが大きいコップのほうが、小さな円をえがく(急に曲がる)。電車の車輪のかたむきは20分の1ほどで、紙コップよりずっとゆるい。
🔗 ほかにも
運動場のトラックで、カーブを走る競走のとき、外がわのレーンの人ほど前からスタートする。外がわほど1周が長いから。電車のレールも、カーブでは外がわのほうが長い。